Kissとhug 2

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ここ１ヶ月前くらいからか。
涼太がおかしかったの。
仕事が終わるとすごい勢いで帰ってくし
誰が誘っても断るようになってた。



踊っててもいつもの涼太の間じゃないから
俺も一緒になってズレてて、しっくりこない。
別人と踊ってるみたい、って
思わず滝沢くんに言いに行ったら
「自分で言えよ」って笑われたけど。


先輩がふらりとリハ室に現れたのは
俺が滝沢くんと話してから少し後。
ドアんとこに立って、壁に寄りかかってた。
その姿を見て…気づいたんだ。


この違和感の正体に。





…涼太がいるのかと思った。





そんくらい似てる。
顔立ちも体つきも全然違うのに。
着てる服とかサングラスとが同じだからってだけじゃない。



…そっか。涼太が別人みたいだったのは
あの人の真似して踊ってたからだ。

意図的じゃなくて、自然にそうなっちゃうくらい
ふたりが近い関係だ、ってことだよな…





なのに、なんでだよ。
涼太も先輩も
なんでそんなに苦しそうな顔してんの？




全然集中できずに稽古が終わって
振り付けの先生からの集合がかけられた。
涼太の立ち位置からはあの人が見えなかったはず…

気づかないで欲しいってなんでか思って
先生を囲んだ時に涼太を俺の奥に立たせた。

一瞬だけあの人と目が合った。
軽く会釈だけしといた。




態度悪いって思われてもかまわない。




涼太を守らなきゃ。
ただ、それだけ。

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