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「5年前、ある日突然リナが旅に出るって言い出したの。
止めても聞かない子でしょ?
空港まで行って見送ったわ。
サンパウロ行きの飛行機に乗るって」

ブラジル?何しに?誰と?
ユウコさんが聞いても頑なに教えてくれなかったそうだ。
時々絵葉書が来て近況を伝えてはきたけど、
リナの居場所は書いてなかったし、
携帯電話は解約してから旅立った。

「ほとんど音沙汰もなかったのに、
3年前突然帰ってきたの。ハナを連れて」

チラッとハナちゃんに視線を流して
ふんわり微笑んだ。

「びっくりして、怒りたかったけど嬉しかったな。
娘が孫連れて帰ってきたみたいで。
それにね、すごく疲れた顔してた。
痩せて、髪もパサパサで。
荷物もほとんどなくて。
『ユウコさん、ただいま。たすけて』
って私の顔見てポロポロ泣いてね。
その日はあったかいご飯食べさせて、
お風呂入れたらパタッと寝ちゃった。
いなくなってた間のことはね、
いつか話すって言われてたから聞いてないの。
ハナのパパが誰で、どこで産んで育ててたのかも。
どんな暮らししてたのかも。
言いたくなったらでいいや、なんて思ってないで、
ちゃんと聞けば良かったな」

涙を堪えて話してくれるユウコさんに
俺は何も言えなかった。

「これから、ハナちゃんは?」

代わりに隆平が訊ねてくれた。

「私と一緒に。ただね、困ったことがあって」
「どうされました?」
「私ね、来週からひと月ほど入院する予定
なるべく早く手術してリハビリしないと
じきに歩けなくなってしまうって」

そう言えばユウコさんは右足を引き摺るように歩いていたっけ。

「その間、ハナちゃんは?」
「施設に預けることになりそう」

隆平がチラッと俺の顔を見た。
目が合って頷いてくれた。
そうしなきゃいけないって、戸惑う暇もなく思った。

「僕がハナちゃんを預かります」

やっと声が出た。
ちょっと裏返ったけど。


う〜ん

ハナちゃんが寝返りをうった。
オデコに汗かいて
前髪が貼りついてる。

隆平が傍らに寄って行って
そっと汗を拭った。

「可愛い」

見つめる目は菩薩さんみたいに優しい。

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設定タグ:関ジャニ , 倉丸   
作品ジャンル:恋愛
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さや(プロフ) - ハナちゃんを自分の名前に脳内変換★ (2020年6月22日 14時) (レス) id: 806d5009ef (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 凄い!もぉ〜どんなんくれるの〜、めっちゃ楽しみ。 (2020年6月22日 12時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ちょーちょーちょーたのしみ!!!!!ありがとうかよさん!!!!!!かわいい!!!!! (2020年6月22日 12時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:cayochi    | 作成日時:2020年6月22日 11時

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