美しい犬 す ばる2 ページ27
ある日
｢俺な、ちゃんと音楽勉強したい。
海外行きたいん。
何年かかるか、わからんけど｣
俺の本音を初めて言葉として出した。
｢夢、なんやね｣
絞りだすような声。
｢おん。そんときは、お前も・・・
まぁええわ。おやすみ｣
素直になれない俺は一番言わなきゃいけない言葉を
伝えたらいけない言葉を飲み込んで
寝たフリをした。
｢お前も｣
その後を伝えたら、どんな顔しただろうか。
ふいにアイツが動いた。
ブランケット体に巻き付けてベランダで月を見上げてた。
綺麗やな。
壊れそうに震える肩を月が照らしてた。
衣擦れの音と閉まるドアの音。
臆病な俺は寝たフリしたまま動けずにいた。
しばらくしてスマホが揺れた。
アイツからの短いメッセージ。
一頻り泣いた後、俺も短いメッセージ送った。
俺は俺だけの美しい犬を失った。
何事もなかったみたいに日々が過ぎていく。
楽屋でも仕事中でも変わらないアイツと俺。
大袈裟に俺への愛情を言葉にするアイツと
それを思いっきり拒否する俺。
コントみたいなやり取り。
俺の胸を抉った。
でも、それでええ。
俺がつけた傷は、もっともっと深いはずやったから。
俺の毎日から、すこしづつアイツが消えていく。
コントをやりつづける日々にも慣れてきた。
俺のことを待ち続けるアイツはもういない。
隣にはいつもデカイ熊が寄り添っていて
くだらないことで笑い転げてる。
優しい眼差しで見つめて
アイツもそれを受け止める。
あぁ。たつがおったわ。
昔から憎まれ口きくくせに
気がつくとアイツの隣におったっけ。
アイツがボロクソに落ちた時も
救い出したんはたつやった。
俺の頭に月を見上げるアイツがちらつく。
なくしてから気づくなんてな。
ありがちなラブソングみたいや。
俺らの歌にもあったよな。
俺の欠片はアイツやったわ。
｢カッコわる｣
ひとりのベッド。
ベランダ見ながら俺は泣くんや。
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cayochi(プロフ) - (名前)ゆーきゃんさん» コメントありがとうございます。今私のなかでヨコ雛がかなりきてまして(笑)しばらく続きます。ヤンマー、どうしようかな・・・大人の話はちょっと勉強？してから挑戦するのでしばしお待ちを！ (2018年12月21日 8時) (
レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ゆーきゃん(プロフ) - 毎日更新、ありがとうございます！突然の横雛（雛横？）に、狂喜乱舞でございます！ヤンマーも...期待しちゃいますぅ〜！！濃いぃ大人限定、ええ大人の私としては大歓迎で〜す！cayochiさんなら大丈夫ですよ！！ (2018年12月20日 5時) (レス) id: 9b0edcc515 (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - kkoyanagiさん» あの人のお話は読みたくない人もいらっしゃるだろうなぁと思いながら書いています。涙がじんわりなんてすっごく嬉しいです。読んでいて穏やかな気持ちになれるようなお話を書き続けていけたらいいなぁと思っております。 (2018年12月16日 1時) (レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - あの人のお話はどうであれグッとくるものがありますねぇ。もう大丈夫かと思ってＪＡＭのあの回を迂闊にも見返してしゃくり上げてしまうほど泣いてしまいました。お話の途中思わず涙がじんわりとやってきました。ほんわり優しいお話達大好きです。 (2018年12月15日 9時) (レス) id: c0ac7f3bbe (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - ほほえみ、いいですよね〜。マルちゃんに張りついてる時の亮ちゃんが可愛らしいなぁっていつも思うので書きたいと思ってたんです。マルちゃんも何だかんだで亮ちゃん大好きですよね。 (2018年12月7日 7時) (レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cayochi
| 作成日時：2018年12月2日 10時
