世界でいちばん りょう2 ページ23
｢もっと男前のマル見せたらええのに｣
いつも俺はマルに言う。
｢りょうちゃんには負けるもん｣
いつもそう言ってはにかむ。
もどかしくなってついつい強い口調で
責めるように言ってしまうから
後で反省するんやけど、この日もまた・・・
｢いつもヘラヘラしとるん、そろそろやめぇや｣
声を荒げた。
｢せやねぇ。でもこれが俺やから｣
しょんぼりしたマルが
ホンマにすまなそうに言う。
その顔見るとどうしたらいいかわからんくなって
｢ホンマ、アホやねん。お前は｣
また憎まれ口叩いて、俺はその場から逃げた。
｢ごめん。言い過ぎた｣
そのひとことがいつも出てこん。
マルの前で素直になれるオークラが羨ましい。
アイツみたいに笑って
アイツみたいにマルを守れたら
マルはオークラやなくて
俺を選んでくれてたんやろうか。
俺もたいがいアホやなぁ。
喫煙室にはマルは入ってこないから
こういう時の逃げ場にはちょうどええ。
落ち着くまでフカシとればちょっとは間が持つ。
なのに今日は会いたくないやつがきおった。
｢亮ちゃん、ここにおったん｣
熊がのっそり入ってくる。
｢なんや、探してたん？｣
｢いやぁ、別にぃ｣
ちゃうんか。
マル、苛めんなって言いに来たんかと思った。
｢亮ちゃんはええなぁ｣
｢何が？｣
俺にはないもん沢山持ってるくせに。
｢りゅうがなぁ、亮ちゃんに薦められたもんは
映画でもドラマでも、みんな面白いって言うん。
自分が選ばないものを亮ちゃんは選んでて
新しいもん見せてくれるって言うんよ｣
｢亮ちゃんは才能いっぱいもってて努力家やって
俺の前でベタベタに誉めるん。
俺、カレシなのになぁ｣
ふぅん。そうなんや。
マル、おーくらにそんなこと言うんやぁ。
ふぅん。
｢亮ちゃん、りゅうがな
さっき話してくれた映画のタイトル、
メモるん忘れたーってしょげとるんやけど｣
しゃぁないな。
行ったるか。
｢おん。わかった。行ってくる｣
火付けようとしたの、戻して
くるりドアへ向かう。
｢頼んだでぇ｣
オークラが笑って手振ったんが見えた。
ちょっとニヤってしやがった。
俺の扱いが世界で一番上手いのはマルやなくて
オークラなんかも知れん。
まぁええわ。
結局俺は熊には勝てん。
所詮、か弱いウサギやな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cayochi(プロフ) - (名前)ゆーきゃんさん» コメントありがとうございます。今私のなかでヨコ雛がかなりきてまして(笑)しばらく続きます。ヤンマー、どうしようかな・・・大人の話はちょっと勉強？してから挑戦するのでしばしお待ちを！ (2018年12月21日 8時) (
レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ゆーきゃん(プロフ) - 毎日更新、ありがとうございます！突然の横雛（雛横？）に、狂喜乱舞でございます！ヤンマーも...期待しちゃいますぅ〜！！濃いぃ大人限定、ええ大人の私としては大歓迎で〜す！cayochiさんなら大丈夫ですよ！！ (2018年12月20日 5時) (レス) id: 9b0edcc515 (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - kkoyanagiさん» あの人のお話は読みたくない人もいらっしゃるだろうなぁと思いながら書いています。涙がじんわりなんてすっごく嬉しいです。読んでいて穏やかな気持ちになれるようなお話を書き続けていけたらいいなぁと思っております。 (2018年12月16日 1時) (レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - あの人のお話はどうであれグッとくるものがありますねぇ。もう大丈夫かと思ってＪＡＭのあの回を迂闊にも見返してしゃくり上げてしまうほど泣いてしまいました。お話の途中思わず涙がじんわりとやってきました。ほんわり優しいお話達大好きです。 (2018年12月15日 9時) (レス) id: c0ac7f3bbe (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - ほほえみ、いいですよね〜。マルちゃんに張りついてる時の亮ちゃんが可愛らしいなぁっていつも思うので書きたいと思ってたんです。マルちゃんも何だかんだで亮ちゃん大好きですよね。 (2018年12月7日 7時) (レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cayochi
| 作成日時：2018年12月2日 10時
