恋彼らの片思い2 (ページ10)

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ライバル　ハヤト2 ページ10

丸山くんが連れてきてくれたのは
ちょっと古びたビルに入ってるお店。

移動車に一緒に乗せていただいてる間は
家族のことや周りで流行ってることとか
当たり障りのない普通の会話してた。

沢山話しかけてきてくれて
笑わせてくれて。
事務所辞めたとして、
就職先の上司がこんな人だったらいいな、なんて
ぼんやり思った。

「いらっしゃい」

小さなお店はカウンターだけしかなくて
10人も入らないくらい。
おでんの大きなお鍋がいい匂いを放ってる。

「大将、こんばんは」

個室じゃなくていいのかな？
なんて思ったけど、
丸山くんは気にしない様子だし、
お店の人たちやお客さんたちに
笑顔で挨拶してる。

「あれ？可愛い子連れてるね。たつくんは？」
「たつ、今日はお仕事遅いの。この子は後輩くん」

ハヤトくん、っていうの。
よろしくね、って紹介してくれた。

「可愛い子連れてたってたつにチクるよ」
「大丈夫ですぅ。たつも知ってる子やもん」

え？アリなの？今の会話。
驚いてる俺に

「ここは大丈夫。理解ある人たちだから」

って言いながら
１番奥の空いてる席に座らせた。

「好き嫌いはある？」
「ピーマンが苦手です」
「あらま。可愛らし。
大将、そーゆーことなんで見繕って」

はいよ！と威勢よく大将が返事する。

「大将も・・・なんだよ」

丸山くんが小さな声で教えてくれた。

「だからね、ここにはよく寄らせていただいてるの」
「そうなんですね」
「信ちゃんたちともよく来るしね」

あ、そっか。
横山くんと村上くんも、だっけ。

「じゃ、まずはビールで乾杯しましょ」

里芋の煮物の小鉢と瓶ビールが運ばれてきて
慌ててお酌しようとしたけど
手でやんわり制して
小さなグラスに丸山くんが注いでくれた。

「ここでは先輩後輩じゃなくてお友達でええよ」
「ありがとうございます。
でもなかなか先輩とご一緒させていただくことがないので
いろいろ教えてください」
「そっか。せやね。ある程度のマナーは覚えておかな」

ラベルはこっち向き、瓶はこう持つの。

慣れなくて手が震える俺に
丸山くんが丁寧に教えてくれた。
泡が少なめになってしまったけど

「乾杯！」

教えてもらったように
丸山くんのグラスの下のほうに自分のグラス合わせた。