恋彼らの片思い2 (ページ17)

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ストロベリィショウトケェキ　まさや3 ページ17

触れられたことがなかった、ソコ。

初めてのことだらけで
頭も体も呆気なく爆発してもぉた。

キスと舌と指。

最後まではしてない。

教えてもらったようになぞると
歌う時より甘ったるい声で安田くんが鳴いて

俺はどっち側なのかわかった。

「この先は、とっておこ」

あとちょっとって時に緊張してまった俺に
安田くんはやっぱり優しい。

ふたりで風呂に入って、一緒に眠った。

俺の腕のなかに安田くんがいて
安心しきった顔で眠ってた。

「俺、ショートスリーパーなんよ。すぐ起きてまう」

いつだったかそう言ってたけど
朝、安田くんのスマホが着信知らせるまで
一度も起きひんかった。

「…うん。夕方な」

「…わかった。用意しとく」

「…じゃ、後で。バイバイ」

裸のまんま、ベッドから抜けて
誰かに返事してる。

痩せた体。小さいお尻。

先を教えてもらうことなんてないのかもしらん。

「おはよぅ」

「おはようございます」

電話を終えた安田くんが俺のほっぺたに触れる。

「パンとご飯、どっちがええ？」

「ご飯がええです」

ちゅ、とくちびる同士が触れて音をたてて離れた。
俺の顔、じっと見て

「可愛いな、お前」

また言うた。

なんでそんな顔しはるんですか？

泣きそうな顔。

お誕生日なのに。

誰かが来てお祝いするんやないんですか？

大切な、人と。

朝メシをこさえてもらって
なんてことのない話をした。

お皿を洗おうとした俺を

「そんなんええから、ゆっくりし」

やんわりと止めて

「時間、勿体ないやろ？」
おいで、って俺を隣に呼んだ。

リモートでよく見た白いソファー。
どこかの国の民族衣装。

「誕生日、3月やっけ」

「はい」

「ほなら、プレゼント用意せななぁ」

「えっ！そんなっ」

「ええねん。俺がしたいの。なにが欲しいか考えといて」

「…欲しいもん、決まってます」

「ん？何でも言うてみ？」

「安田くん…ください…。
今、すぐやなくても…俺、頑張りますから…」

ふふふ。
目尻にまた皺寄せて。

「せやな。考えとくわ。
今すぐは、無理やけど…」

ちゅ、って音たててくちびるが触れて

「予約、な」

俺にスタンプを押した。

ギリギリまでジャレあって、安田くんの部屋を出て
エレベーターで下に降りた時
小さな猫背の男の人とすれ違った。

あぁ。そっか。

予約済みのくちびる噛み締める。

冷蔵庫に残ったケーキ。
全部食べてくれば良かったな。

あの人も、イチゴ好きやったっけ…。