明日

幸せであるように。　たつ ページ46

明け方、丸いコタツに足つっこんだまま。



喉が乾いて目が覚めた。



こんなとこでも寝相がいい隆平は
オデコにうっすら汗をかいてる。


テーブルの上には空いたシャンパンの小瓶とグラスがふたつ。



上の夫婦からの差し入れはいつだって気がきいている。




「特別なことはせんでいいの」

「たぁと一緒におれれば幸せやから」



ずっと忙しくしてた俺に気を使ってか
今年は何もさせてくれへんかった。


歌番組終わり、0時ちょうどは帰宅途中で
ふたりきりでもなかったし
ケーキもない、ツマミはチーズだけやけど
ささやかな誕生日祝い。


ただなんてことのない日常とたいして変わらない特別な日。


この数ヶ月。
激しく求め合うこともできない日々が続いたけど、
体の芯の部分に『ふたり』が染み渡っていく感覚は
お互いのために必要不可欠だったに違いない。

生半可じゃない忙しさと思うようにならない体と。
やるせなくてただひたすら落ちていく気持ちを
何度この寝顔が救ってくれだろう。



…ふぅ



この子はよく寝ながら笑う。
ぷくん、と鼻が広がってキン肉マンみたいになるのすら
愛しくてしゃあない。



オデコの汗をそっと拭うと一瞬目が開いた。

「たぁ」

ふにゃふにゃな寝言にもならんくらいに呟くと
へらっと口許が緩んでまた眠りについた。


目が覚めたら体バキバキやろうな。
ゆっくりと風呂に浸かってのんびりすごそう。



年末にむけてのバタバタが始まる前に、お互い少し補充しなくちゃ。




グラスに残ったシャンパンを飲み干して
俺もまた横になる。


まんまるいコタツ。
今年の冬も。
これからの冬も。


ずっと。



おめでとう。ありがとう。
また１年、幸せでありますように。

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