明日 (ページ43)

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カメラなんていらない　たつページ43

隆平はいろんな顔をする。

その時求められた顔を求められた以上に決めてくる。
普段はポヤポヤしてんのに。
届いた雑誌の中の隆平は
ゾクゾクするほど色気があって、男の顔してた。

憂いを帯びた目。
あんな目で見つめられたら秒で落ちるわ。

「やりすぎやて」
「やっ、てぇ、、」
「やって、ちゃうわ」
「な、、りた、くんにっ」
「成田くんが何？」

「負けた、、ないねん」

んふ。可愛い。

俺が特集組んでもろた雑誌見て

「たぁ、ホンマに惚れてんちゃうの？」

そう言って煽ってきたのは隆平のほう。
急に抱きついてきて、むちゃくちゃにキスした。

やけど、ヤキモチ妬きなら俺も負けてへん。

すん、とすました顔も
挑戦的な目付きも
アップになった口元も
どれもこれもがイヤラシくて。

彼氏に見立てた写真も
『妻』になっていない女の子たちを
トキめかせるには十二分で。
懇意にさせてもろてる写真家さんの作品は
妖しくて美しくて、
いつもの陽気なマルちゃんでも
闇抱えた丸山でもなく。
まさに俳優の顔。
演じることが大好きな隆平の魅力が溢れてる。

俺が引き出せる顔とちゃうから
写真のなかの隆平にヤキモチを妬く。

ダンナとしても、役者としても。

「りゅぅ、目閉じんで」
「俺の目、見て」

素直に目を開けて俺を見つめる。
この顔はどんな役になってもしない顔やろ？

ぐしゃぐしゃに歪んだ顔
俺しか知らない音で鳴く声

全世界に配信したいけど
誰にも見せずに閉じ込めておきたい。

俺の。
俺だけの。

隆平。

隆平は隆平でヤキモチ妬いてるけど
俺と隆平の気持ち、シーソーに乗せたら

絶対俺のほうに傾く。

ホンマ、それは自信ある。

「俺の、たぁ？」
「せやで」
「俺は、たぁの」
「せやな」

嬉し。

へにゃり、と笑う、顔。
愛しい、笑い顔。
死んでも思い出せるように、
生まれ変わっても忘れないように

目に、心に焼き付ける。

俺だけの。