SJオフィスパロ (ページ22)

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「本当にごめん…でもそこまで付き合わせられないよ！ヌナさんも仕事あるんでしょ？」
「私は今日休みで。たまたま会社に来る用事があっただけなので大丈夫ですよ」
「いや、でもせっかくの休みなんだから休みを楽しまないと…」
「うっかり者のドンヘさんを見て楽しんでるのでお気になさらず…ほら、せっかく取引先様が待っててくれてるんだから早く行かないと」

後で来た道を辿ってスマホを探そうと思ったら、まさかのヌナさんも付き合ってくれるとか。でもこんな初対面の相手の為に貴重な有給を潰させるのはさすがに申し訳なくて断るけど、肝心のヌナさんはむしろ手伝う気満々で。

いつの間にか辿り着いていた駅前でお札を握らされた僕は、背中を押されるがままに改札を潜った。
何気なく手伝おうとしてくれたヌナさんにはもちろんだけど、僕が平謝りを繰り返した後に『君ならやると思った』と笑って許してくれた先方もあまりにも優しくて。
帰り、ヌナさんと約束した待ち合わせ場所に着くまでにほんの少しだけ泣いたのは僕だけの秘密だ。

「ヌナさん！ごめん、お待たせ！」
「…その顔、特にトラブルも無かったみたいで良かったです」
「あはは、本当に良かった～！ヌナさんのお陰で助かったから今からご飯行かない？奢らせてよ！僕今日は直帰で良いって言われたんだ！」
「その前にスマホ、持ってないじゃないですか」
「あっ…」

そうだった。僕、先にスマホ探さなきゃいけないんだった…。
仕事が無事に終わった喜びですっかり失念してたから、思い出した途端一気に気が重くなってきた。
それでも、凹んだ僕を見たヌナさんが可笑しそうに笑ってくれたから、まぁ…いっか。

「さぁ、スマホを探しに行きましょうか」
「う、うん…！」
「じゃあスマホを無くす前の駅前から無くした事に気付いた場所までの間をドンヘさんがナビして下さいね」
「ん、わかった！」

こうして僕とヌナさんは僕の大切なスマホを探すべく、日が暮れるまで隅々まで何度も同じ道端を探し歩いた。

結局スマホが見付かったのは、歩き疲れて入った先のカフェで。
そういえば待ち合わせまでまだ時間があると思ってカフェで一息ついた事を今更ながらに思い出してヌナさんに平謝りする僕と、疲れ過ぎたのか今日一番で爆笑するヌナさんというシュールな光景が、静かなカフェの中で繰り広げられたのだった。