SJオフィスパロ (ページ19)

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「…なんかヒョクの方が可愛いよ」
「うるせー」
「本当にその子の事好きなんだな～」
「…たぶん、マジで好き。俺がずっとそばで支えてやりたいし、頼りにされたい」
「でも悩んでるんだ」
「そうなんだよ…アイツ、マジでガード固くて。不器用だからどれだけ手伝うっつっても要らないの一点張りだから強行手段しかないし。でもそうやって無理やり手伝ってやった後にちょっと照れてお礼言ってくるヌナがめちゃくちゃ可愛くてさ～」

…悩んでる割にノロケるヒョクは、やっぱりいつもより幸せそうだ。本当に悩んでるのかすら疑わしいくらいデレデレ。シャツの襟を引っ張って口元を隠してニヤけてるから、この間買ったばっかりだって言ってたけどもうじきダメになるだろうなぁ。

でも、そんな事より。
あんまりにもヒョクがノロケるから、僕はその子に興味が湧いてきてしまった。もちろん好きとかじゃなくて、ただの興味本位でだ。

良くも悪くも友達と彼女の線引きが曖昧だったヒョクがここまであからさまに骨抜きにされてしまう彼女って、一体どういう人なんだろう？

「そこまで言うなら、一回見に行ってみようかな」
「…は！？やめろよ！！」
「え！なんで！？」

何気なく呟いた僕の一言にヒョクは予想以上に食い付いてきて。押し倒さんばかりの勢いに、思わず僕は壁を伝いながら床に転がった。
さっきまでデレデレしていたヒョクの顔はもう鬼みたいだ。温厚なヒョクが初めて見せたその気迫に、ヒョクが相当本気な事を悟る…けど、見たいものは見たい。

「お前モテるだろ！あいつがお前に惚れちゃったらどうすんだよ！絶交じゃ済まさないからな！」
「言う程モテてないって！お願いヒョク！」
「うるせーうるせー！休憩終わり！踊るぞ！」
「えー！」

これ以上僕が何も言えないようにする為か、どれだけ文句があろうとも音楽を強制的に流されれば体は無意識に反応してしまう。ヒョクもさっきまでの会話がまるで無かったかのように踊り出すから、結局その話は有耶無耶になってしまった。

どうしても気になった僕はちょくちょくヒョクの所に顔を出すけど、目敏く僕を見付けたヒョクにディフェンスをされ続けて見られないまま数週間が経った。
諦めかけた僕に運命の女神が微笑んだのは、それから少し経った時の話。