SJオフィスパロ (ページ17)

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僕と彼の金曜日(side D) ページ17

夜もだいぶ更け込んだ時間、僕達はようやく動く事を止めた。このダンスルームにはもう僕達しか残っていないから、音楽を止めたら僕達の息遣いしか聞こえない。
口数よりも多い汗をTシャツで拭っていると、壁にどさりと背中を預けたヒョクが大きく溜め息を吐いた。

「あー、なんか久しぶりに踊ったな」
「あはは、確かに！」

僕達は、高校時代に知り合ってからずっと二人で過ごしてきた。
入学当初、とにかく体を動かすのが好きな僕がどの部活に入ろうか迷っていた時に、隣のクラスだったヒョクと出会って。二人で一緒にダンス部に入ったのが始まりだった。
それからというもの、暇が合えばずっとダンスの練習をした気がする。流行りの曲に二人で振り付けを考えてみたり、たまに僕がノリで作った曲にヒョクが振り付けをしてくれたり。とにかく僕達はずっとダンスをしていた。そして、社会人になった今現在も。

「うわ、マジで明日やばいかも…バキバキだわ」
「…ヒョク、がむしゃらに踊ってたけど何かあった？」
「あー…うーん。」

ヒョクは友達が多いから、普段は一人でダンスルームに来ては仲間達とわいわいしながら踊ってる事が多いけど、何故か悩みがある時はよく僕を誘う。無意識なのかは分からないけど、高校の頃からずっとそうだった。だから、今になってもきっとそうなんだろう。
僕の問いかけに案の定神妙な面持ちで黙り込んだ可愛い親友に、失礼だけどちょっとだけ笑ってしまった。

「なんて言えば良いんだろうな…」
「会社の事？」
「まぁ、そんなとこ」