世界はあなたの色になる 2

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ざわざわした店内は、なぜかあたしの耳には静まり返っているように感じて



まだ時間は経っていないのに



テーブルに置かれたカップからは、もう湯気は消えていた






“だってAちゃん、あたしと同じような顔しておっぱのこと見てたでしょ？ ”







セナちゃんの声が頭の中でぐるぐるとまわる




それって…………つまり




セナちゃんは今でも、ジヨン先輩のことを







「大丈夫だよ。今さらどうこうしようと思わないし。」





そう言ったセナちゃんは、どこか少し寂しげで




その表情の奥に


どんな意味があるのか、わからない






けど、多分



それはあたしが知るべきものではない気がする







「セナちゃん……は、」


「うん？」






ようやく発した声は掠れてた



時々、カランカランとドアベルを鳴らしてお店のドアが開く隙間から、滑り込むように流れる風




その冷たさが、ほっぺたを通り過ぎるのが気持ち良くて




鼓動を落ち着かせるように、ゆっくり呼吸を整えた







「セナちゃんは……幸せになれるの？」





あたしがこのまま踏み込んでいいのかな



でも聞かずにはいられなくて








「幸せだよ。……スンリのこと好きだし、あたしのこと……大事に……してくれるし」






ずっとあたしを真っ直ぐ見てたセナちゃんの視線が初めて落とされた






「だってね………2番目に好きな人と結婚する方が幸せになるってジンクスあるじゃない。」







予想外の展開は


急に舞い降りてくる







俯いてた頭を上げて


セナちゃんが、ふわって笑ったけど






ぎゅ、と膝の上であたしに見せないように固く閉じた手を震わせるから






それじゃ…………スンリの気持ちはどうなるの？って言いたかった言葉をぐっと飲み込むしかなくて









「セナ、お待たせって…………あれ？」




割って入ってくる声に顔をそちらに向けると



ここまで走ってきたのか、額に汗を滲ませて肩で大きく呼吸をするスンリ







「Aと一緒だったの？」


「うん。」






何も言葉にならない


息をして、ここに平静を装って座っているのがやっとだ






スンリは………セナちゃんを愛してる




セナちゃんを見るスンリは泣きたくなるほどに優しくて



あたしが感じる以上にセナちゃんはわかってるはず









あたしの視線に気がついたスンリが困ったように笑って





ごめんねって小さく呟くから






…………ひどく、胸が締め付けられた

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