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たくさん、たくさん交わすキスに

まるで酔ったみたいに、頭がくらくらしてくる

｢ごめんね。お腹空いた？何食べよっか？｣

まだぼーっとするわたしの髪をひと束掬い上げて、ジヨンは余裕たっぷりの表情

｢…何か作ろっか？｣

｢ほんと？！Aちゃんの手料理？｣

言った後ですぐ後悔しちゃってるけど

｢あんまり得意じゃないよ？｣

｢すげー嬉しい！｣

ぱぁっと顔を明るくして喜ぶジヨン

よし、これは…頑張んないと！

｢大丈夫かなぁ？｣

ひっくり返すとべちょって歪な形になって

お皿の上には思ったより焦げてるチヂミ

もう、全然ダメじゃんこれ

｢出来た？｣

真後ろから冷蔵庫の開く音がして

無理矢理キッチンから追い出したジヨンが取り出した缶ビールのプルタブに指をかける

肌とか、口元を隠しながら笑う仕草とか

ジヨンはわたしよりも可愛くて女子力高いけど

喉仏も、引き締まった二の腕も男の人

｢Aちゃんも飲む？｣

｢しばらくお酒控える。だって知らないうちにアザとか出来てるんだもん。｣

まだ痛みを残すおでこを指差せばジヨンがわたしの前髪をかきあげて

｢やっぱりアザになってる。昨日すごい勢いでドアに激突してたからね。｣

｢わー、もうお酒やめる！｣

ほんのり冷たいジヨンの指がおでこにそぉっと触れ

｢跡が残っても、大丈夫だよ。｣

真っ直ぐに優しく見つめる瞳

その言葉の意味を頭の中でぐるぐる張り巡らせ

期待は高まる反面

考えれば考える程、ぼんやりと遥か夢の話

美味しい、美味しいって

どう見ても不格好なチヂミを残さず食べてくれて

お世辞かもしれないけど

ジヨンのこんな風に笑う顔が見れるんだったら

もっと色んな料理が作れるように勉強でもしようかな

いつまでもジヨンに好きでいてもらいたいから

｢後でこれ観る？｣

｢これ観たかったの！｣

｢良かった。でも、そう言ってすぐ寝ない？｣

イタズラっぽく笑ったジヨンがわたしの肩に顎を乗せる

｢寝ないよ。帰れなくなるし。｣

｢え？帰るつもりだった？｣

目の輝きを変えて

ぎゅっと抱きつく腕の力が強くなるのを感じて

｢俺、飲んでるから送れないし。それに帰す気なんて最初っからない。｣

肌と肌が触れ合う感覚だけで

胸がいっぱいになる

わたしが抱えるちっさな不安なんて

柔らかな声と優しい腕の中では全部忘れてしまいたい

きっとわたしの方がずっと、ずっと

ジヨンじゃなきゃダメなんだよ