水の世界へ ページ43
浴場では、声が反響してぼんやりと響いて聞こえる。遠くから、湯女達が風呂掃除の為に声をかけ合っているのが聞こえた。
木製の床を見つめていると、ふと私に影が差しかかった。
「……(人1)」
奥が深くて、どこか色っぽい声。リカさんだ。
彼女は、どこか気まずそうに話を切り出した。
「ハク様との事は凄く残念だったと思うけど……きっと、あの方も一時的に怒っていらっしゃるだけだから、復縁の見込みはかなりあると思うの……だから……元気、出して?」
可愛らしく、ね? と小首を傾げられ、私はのそのそと立ち上がった。
もちろん、プライベートと仕事は別々なもので、どちらかのゴタゴタを片方に持ち込んだりしてはいけない。だから、仕事もちゃんとしているし普段通りに笑顔も作っている。
……でも、笑顔がひきつっているのだろうか、私が笑うと皆が何故か怖がって逃げていくのだ。私、そんなに強面だったかな。
ふぅと溜息を吐きながら浴槽を掃除するスポンジに手を伸ばすと、いきなりリカさんが後ろから抱き着いてきた。勢い余って2人で濁り湯の中へ落ちてしまう。派手に水音が立ち、周りの従業員が私達を振り返った。
「ちょっと、リカさん!? どうしたんですか!?」
「(人1)の元気がないから、湯の中へ落とせば元気になるかなと思ったの」
「リカさんまでビショビショじゃないですか! 風邪引いちゃいますよ!?」
大声で言い返しながらも、間近に見えるリカさんは、女の私さえも胸がドキドキしてくる程綺麗だった。水に濡れて潤いを増した黒髪の下で、長い睫毛に囲まれた瞳がきらきらと光っていた。ずっと茶色の眼だと思っていたけれど、良く見ると紫色にも見える。
彼女はふっと微笑んで、湯の中で私に足を絡ませた。
「あーあ……私、貴女が殿方だったら絶対に放っておかなかったわ。本当に残念……きゃっ」
「何変な事言ってるんですか! 早く服着替えなきゃっ」
私はリカさんの手を掴んで、浴槽の壁を這い上った。手足がつるつると滑ってなかなか渕へ辿り着けない。ようやく床へ下りた時には、リカさんは凍えながらくしゃみをしていた。
「(人1)……最初の頃に比べると、随分私への対応が酷くなったわね」
「……だってリカさん、何か言うとすぐにえっちい話に持ってくんだもん!!」
「えー、だって他人の夜の事情って気になるじゃない? ……くしゅっ」
「ほらほら、着替えにいきますよ」
私はリカさんの手を引っ張って歩き出した。
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美音 - なんだろう…美影さんを内山昂輝さんの声で再生してしまうの… (2022年1月10日 7時) (
レス) @page33 id: c6a6e435a8 (このIDを非表示/違反報告)
サリナ(プロフ) - 季紀さん» この書いた作品全てを消して悪女が出る作品を書いてください！m(__)m (2018年4月4日 17時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - 感動しましたので一度この作品の削除(変換)して夢主とハクが結ばれる作品を書いてくださいませんか？お願いしますm(__)m (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 紫蘭さん» はい、してます！笑 というかばり白澤様です笑 (2017年1月23日 9時) (レス) id: e2d49320a9 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 間違いだったらすみません……。白澤様がどうして『鬼灯の冷徹』の白澤様にしか見えません(´；ω；｀)← もしかしてモデルにしてますか！？ (2017年1月21日 23時) (レス) id: 4fa9a25ace (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2014年12月28日 22時
