夢の時間の崩壊 ページ28
顔をしかめながら人だかりの中心へと進んで行く。すると、前の蛙男の影に屈み込んでいる白の作務絵姿を見つけた。ハクだ。艶の良い黒髪がさらりと揺れている。
なんだ、ハクだ。どうしたんだろう。
「ハク、どうし･･････」
声をかけてハッとした。屈み込んだハクの膝の上には1人の女が横ずわりにされていた。茶色のかかった髪に柔らかそうな頬。千尋だ。
でも、もっと驚くべきことは･･････
私の声を聞いたハクが身じろぎした。それによって2人の唇が離れる。
翡翠の切れ長の瞳が私を振り返った。
「A」
「ハク、･･････何で千尋とキスしてるの?」
それまで夢見心地に瞳を閉じていた千尋が薄っすらと瞼を押し上げた。ハクの腕はしっかりと千尋の腰に回っていて。訳が分からなくなった。
嘘。そんなはずがない。
でも、ミナさんがあんなにも焦っていたのは･･････はたと思考回路が繋がった。
野次馬の誰かが修羅場だ、と呟いた。
ハクは慌てて千尋をそっと床に座らせ、手を突いてた立ち上がった。千尋は怪我をしたのかお腹をかばっている。
「A、違う。誤解しないで」
「･･････」
「本当にわざとやった訳ではないんだ。これは事故で･･････」
「き･･････が･･････よ」
「え?」
「き、キスしといて何が事故よっ!」
目頭がじわりと熱くなった。大勢の人の見ている前でみっともない。そうは思ったけど、感情が滅茶苦茶だった。
「ハク、数日前まで優しいこと色々言ってくれたよね。でも、やっぱり千尋が好きだったの?」
「そうじゃない。私が愛しているのはAだけだ」
「じゃあ何でこんなことしてるのよ?」
「だから、これには理由が･･････」
ハクがそこまで言いかけた時、ついに涙が込み上がってきて目の淵から溢れた。その一粒が先導となってもう滝のように涙が出てきた。
野次馬が目を見合わせているが、一度泣き出してしまうともうどうでも良いという気分になった。湯婆婆が見たらお客様の前でと怒るだろうけれど。
「あーあ泣いちゃったよ」
「ハク様ピンチだな」
人々がざわつき始めた中、下唇を嚊んで足元を見た。最早涙で何も見えなかったけれど。人だかりの中でハクと対峙して、自分がいきなり世界で一人ぼっちになったような気がした。
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美音 - なんだろう…美影さんを内山昂輝さんの声で再生してしまうの… (2022年1月10日 7時) (
レス) @page33 id: c6a6e435a8 (このIDを非表示/違反報告)
サリナ(プロフ) - 季紀さん» この書いた作品全てを消して悪女が出る作品を書いてください！m(__)m (2018年4月4日 17時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - 感動しましたので一度この作品の削除(変換)して夢主とハクが結ばれる作品を書いてくださいませんか？お願いしますm(__)m (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 紫蘭さん» はい、してます！笑 というかばり白澤様です笑 (2017年1月23日 9時) (レス) id: e2d49320a9 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 間違いだったらすみません……。白澤様がどうして『鬼灯の冷徹』の白澤様にしか見えません(´；ω；｀)← もしかしてモデルにしてますか！？ (2017年1月21日 23時) (レス) id: 4fa9a25ace (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2014年12月28日 22時
