何十回目のごめんなさい ページ23
「本当にハクかい?」
「も、もちろんです!」
「ふうん……まぁ、美影でもいいんだけどね」
いやよくないですよ!
恋人以外の男性に浮気していても良いというような発言に、湯婆婆様はやっぱりクソババアだと思った。
湯婆婆様はそれを聞いた途端再び態度がでかくなった。
「じゃあいくらでもして良いよ! ただし、相手は神のみで」
「え」
「相手が神だったらね、聖い力が移るんだよ。繋がれば繋がる程ね」
ちょっ……繋がるとかいうなあぁぁぁ! リカさんはともかく、よりにもよって千尋のいる前でさあ!
そう叫びたくなったが、相手はこの湯屋の最高経営者だ。あまり楯突く訳にはいかない。言いたい言葉をぐっと飲み込んだ。
その後も随分とからかわれ、気まずい空気のまま書斎を出た。リカさんは終始くすくす笑っていたが、千尋の表情は暗かった。なんだか申し訳ない気持ちになってくる。
「千尋」
「……え、何?」
千尋はにこりとして私を振り返った。様々な人を魅了する、花の開花する瞬間のような笑顔で。
――無理してる
そう感じた。私は依然として暗い声のままで話し掛けた。
「ごめんね、なんか……」
「何がかしら?」
「……」
ごめんね、千尋。本当はそんな風に笑える気持ちなんかじゃないよね、きっと。千尋は小さい頃ハクに会って、きっとお互いを尊重しあう、世界中でたった一つだけの恋をしたんだよね。ずっとハクのことを想って、ハクの為に向こうの世界を捨ててこっちへ来たのよね。
ハクだって、最初は千尋のことを好きだった。ハクと千尋みたいな、究極ともいえるカップルが結ばれなかったのは、私が来たから。もしかしたら知らず知らずに結ばれるはずだった2人の幸せな未来を邪魔していたのかもしれない。
言いたいことは沢山あるのに、喉の奥に引っ掛かって出てこなかった。
私には身を引いて自分の恋を千尋に譲る心の広さも、かといって、千尋にその事をはっきり謝れる行動力もない。
何も言わないでいると、千尋は最後に優しく微笑んでその場を去って行った。
(出来るのは、胸の中で小さくごめんねと謝るだけ)
***
「A。仕事お疲れ様」
「ひゃっ」
いきなり後ろから抱きしめられ、驚いて手にしていた箒を落とした。カタンと音を立てて柄が池の渕の岩にぶつかる。
小さく溜息を吐き、箒が池に落ちないよう爪先でつつっと脇にずらした。少し驚いてしまったが、最近ではこうやって突然後ろから抱きしめてくる人物が誰なのか分かるようになっていた。
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美音 - なんだろう…美影さんを内山昂輝さんの声で再生してしまうの… (2022年1月10日 7時) (
レス) @page33 id: c6a6e435a8 (このIDを非表示/違反報告)
サリナ(プロフ) - 季紀さん» この書いた作品全てを消して悪女が出る作品を書いてください！m(__)m (2018年4月4日 17時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - 感動しましたので一度この作品の削除(変換)して夢主とハクが結ばれる作品を書いてくださいませんか？お願いしますm(__)m (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 紫蘭さん» はい、してます！笑 というかばり白澤様です笑 (2017年1月23日 9時) (レス) id: e2d49320a9 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 間違いだったらすみません……。白澤様がどうして『鬼灯の冷徹』の白澤様にしか見えません(´；ω；｀)← もしかしてモデルにしてますか！？ (2017年1月21日 23時) (レス) id: 4fa9a25ace (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2014年12月28日 22時
