お客様はお帰り下さい ページ2
湯屋がようやく機能し始めるのは朝の10時くらいから。
これからお客様を迎える準備を始めるのだ。
でも、美影さんに神楽舞と神力を朝早くに教わっていた影響で私は早起きが根付いてしまった。まぁ、ハクと朝話す時間ができるからそれも悪くない。
湯屋の地理も大体把握し、この生活に本格的に慣れてきた。仕事をするとは不思議なもので、湯屋で働き始める以前の自分よりもずっと成長したように感じられる。もちろん向こうの世界でもかなりの時間は流れただろうし、今更戻って受験に参加できるとは考えていない。私としてはずっとこの世界で生きていくつもりだ。
夕方を少し回った頃だろうか、沢山の従業員でざわめく回廊を番台に向かっている時声を掛けられた。
「(人1)ちゃん」
「はいっ」
声を掛けられると咄嗟に返事が出来るようになったのはきっと接客業に就いた故だろう。振り向くと、狐にように目を細めて微笑む白澤様が立っていた。
耳元でコインを赤い糸で結んだ耳飾りが揺れている。
……あれを引っ張ったらきっと滅茶苦茶耳痛いんだろうな。
「元気?」
「げ、元気ですけど……白澤様、神様がこんな従業員だらけの所うろついちゃいけません!」
「え〜、別に僕はいいのにィ」
「こっちが良くないです!」
白澤様の背中をグイグイ客室の方へ押す。彼は不満気な顔をした後、不意に両手首を掴んできて私に向き直った。
「(人1)ちゃん、この前神楽踊ってたじゃん。めっちゃ綺麗だったよ〜」
「えっ……見て下さったんですか?」
「もちろん! 可愛い(人1)ちゃんの踊り、見ない訳にはいかないじゃん」
この人は本当に口が上手だ。女の子はきっとこれに惹き込まれてしまうんだろう。
有難うございます、と微笑む。
冗談半分に受け取っておくのがきっと一番。
仕事に戻ろうとした時、ふとあることを思い出した。
「あ……白澤様」
「何〜?」
「あの、私、白澤様のお蔭でハクと……」
ハクと。
その先を言いかけてから、あの夜のことを思い出しぼっと顔が熱くなるのを感じた。
覆いかぶさってきた彼の肌の感触。優しく掌で身体に触れられたこと。
あ、やばい――
「ごめんなさい、やっぱ何でもないです! 忘れてください!」
「え、なになに〜気になる〜」
「気にならないで下さいっ」
言ったら絶対ニヤけちゃう。
湯屋のお得意先である白澤様には引かれたくない。
いじけたように唇を突きだしていた彼に背を向けて歩き出した。
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美音 - なんだろう…美影さんを内山昂輝さんの声で再生してしまうの… (2022年1月10日 7時) (
レス) @page33 id: c6a6e435a8 (このIDを非表示/違反報告)
サリナ(プロフ) - 季紀さん» この書いた作品全てを消して悪女が出る作品を書いてください！m(__)m (2018年4月4日 17時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - 感動しましたので一度この作品の削除(変換)して夢主とハクが結ばれる作品を書いてくださいませんか？お願いしますm(__)m (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 紫蘭さん» はい、してます！笑 というかばり白澤様です笑 (2017年1月23日 9時) (レス) id: e2d49320a9 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 間違いだったらすみません……。白澤様がどうして『鬼灯の冷徹』の白澤様にしか見えません(´；ω；｀)← もしかしてモデルにしてますか！？ (2017年1月21日 23時) (レス) id: 4fa9a25ace (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2014年12月28日 22時
