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「先輩たち、すいません。こいつ吐きそうらしいんで家まで送っていきます」
「え、まじ！？ 俺ら飲ませすぎた！？」
「こういうのあんま慣れてないっぽくて。でも気にしないでください」
彼は私の腕を自分の肩に回し、じゃ、と言って店を後にした。居酒屋の喧騒を抜け出しても、夜の繁華街は賑やかだった。
「助けてくれて、ありがとう」
「気にすんな」
「でも、吐きそうじゃないから」
「しょうがないだろ、ああ言った方が抜けやすい」
肩を貸されながらなんとか歩く。私たちは地下鉄の駅へたどり着いた。最寄りまでは2駅だ。
「おい、頼むから電車内で吐くなよ」
「だから吐かないって」
地下鉄の乗り込み、椅子に並んで座る。福永理樹の肩に頭を預けた。服から柔軟剤だろうか、いい匂いがした。
「お前そんな見かけで酒弱いんだね」
「何、強そう？」
「うんすげー強そう」
「期待を裏切って申し訳ない」
「ほら、着いたから降りるぞ」
「うぷっ」
また肩を貸され、強引に閉まりかけのドアからホームへ降りる。ここまで来れば家までは後少しだ。
「ほらIC出して」
「はい」
「よし偉い」
えらく面倒見が良い。観察対象でなければ惚れかえていた。
暫く歩いていると、福永理樹の自宅の高層マンションが見えてきた。
「あ、ここ家でしょ。ありがとね」
「送ってくよ」
「えっ」
「えっじゃねーよ、こんなやつ一人で歩いて行かせられないだろ。家どこ？」
「ここから5分くらいだけど……いいよ、申し訳ないし」
「気にすんな」
と言われても、私が気にするのだ。観察対象にベロベロになって介抱されているのもそうだし、何よりも家を知られたとなったら菊さんの逆鱗に触れる気がする。
「やっぱ、大丈夫だよ……」
「は？ お前俺が何かするとでも思ってんの？」
急に彼が立ち止まったので私の体ががくんと揺れる。そう言って間近で私を睨みつけた彼の目は、ただの大学一年生のものではなかった。その凄味と剣幕に私は圧されてしまった。
「思ってないよ」
「はあ」
「ジャ、ジャアオセワニナロウカナ……」
そういうと彼は無言でまた歩き出した。沈黙が気まずい。こんなことなら最初から大人しく従っておけばよかった。
その気まずい沈黙を打ち破ったのは意外にも彼だった。
「お前、実家？」
「ううん。出身は地方だから、親戚のお兄さんの家に住んでる」
「マジ？ それ大丈夫なの？」
彼は何を心配したのか眉をひそめた。大丈夫、寧ろ何かあってほしいのに何もないくらいだから。
続く (更新停止中)
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季紀(プロフ) - きなこんこんさん» 大分昔の作品なのにはまる方がいらっしゃるとは激アツですね！ この作品の更新ができておらず、現在nanoというサイトで菊さんのBe a Bride!という作品を更新しております。私のプロフィールからいけますので良ければご覧くださいませ！ (2021年8月23日 3時) (
レス) id: 42e891cf28 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - みさん» 更新しばらくできてないですが温かいコメントありがたいです:) ありがとうございます！ (2021年8月23日 3時) (レス) id: 42e891cf28 (このIDを非表示/違反報告)
きなこんこん - 初コメ失礼します。昨日、ヘタリアにはまって今日、推しが菊さんになりました。好きです（こちらの作品が）。更新頑張ってください。 (2021年8月19日 16時) (レス) id: 5c71fdc042 (このIDを非表示/違反報告)
み - めちゃめちゃ好きでず … ｯｯｯｯ 日本さんの素みたいなのも刺さりました … 、ありがとうございます！！更新楽しみにしてます！！！！！！！ (2021年2月1日 20時) (レス) id: a7a20ec0a3 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 花さん» お返事が遅れてしまいごめんなさい。ちょっと人間味のある日本さんを書いていけたらと思っています！ 亀更新ですがよければこれからもよろしくお願いします (2020年2月13日 19時) (レス) id: a6752b7796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：季紀
| 作成日時：2020年1月10日 21時
