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「だって、僕は君が好きでしょ。でも君はもう他の人のものでしょ。よりによって僕のかつての弟子だ。そりゃあもちろん、僕の彼女になってもらって一緒にくっつけるのが一番のハッピーエンドだけど、それを幸せを奪ってわざわざ自分のものにできるわけないじゃん。じゃあ、少しでもその好きな子と一緒にいるためには、相手とも付き合ってもらいつつ僕とも恋愛してもらうしかないじゃん」
「……相手が他の人のものでもいいんですか？」
「仕方ないよ。君らのとこは知らないけど、世の中男女の愛憎がそう綺麗に収まるようにできてる訳ないんだから。だから僕は、完全を求めずとも相手も自分も疲れすぎないちょうどいい関係でいいんだよ」
幸せをおすそ分けさえしてもらえれば、と彼は口の中で小さく呟いた。
私は変わった考えに少し驚いて眉をぴくりと上げた。もちろん到底理解できそうにないし、自分もその価値観を受け入れられるかというと否だけれど、訳もなく女好きだと思っていた彼がそんな世界観の中を生きているんだと初めて知ることができたのだ。
「まあ、あなたがそれでいいならいいですけど、私はそうはなりませんよ」
「えぇ〜、イケズ」
「しょうがないでしょ。私まだ若いんだから、自分のすべてを全力で相手にぶつけるような、そんな恋をするしかないんです。特に私は人間だから、あなたたちみたいな人と付き合うには。花火が打ち上がって刹那に消えるみたいな、そんな儚くても力強い人生を生きなくてはならないんです」
事実、ハクよりも私の方がずっと早く死ぬだろう。彼は残され、私の知らない半永久的ともいえる途方もない時間を生きていき、その中でまた想い人を見つけることもあるだろう。そう考えると、まだ見ることもないその相手のことを思って気が狂いそうになる。実際、過去にも私のような人がたくさん居たのかもしれない。
でも、過去や未来を慮るよりも、私が大事にすべきなのは今この時、私が彼と同じ時間を共有しているという事実なのだ。変なことに気を回すよりも、短くともこの広い世界で巡り合えた奇跡を大事にしながら彼との時間を全力で生きるべきなんだ。
「……だから、ごめんなさい。私はあなたの気持ちに応えることはできません。以上です」
居ても立ってもいられなくなって、私は逃げるようにその場を去った。廊下を歩きだしても、胡蝶蘭の香りが鼻腔に沁みついて離れなかった。
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季紀(プロフ) - 一葉さん» 3周も読んでくださる方がいるなんて、感無量です（ ; ; ） 感謝の気持ちで一杯です☺︎ ありがとうございます！ (2022年6月19日 20時) (
レス) id: 597a075cd6 (このIDを非表示/違反報告)
一葉(プロフ) - 見てるこっちもキュンキュンして、かれこれ3周目です笑この様な最高の作品を作ってくれてありがとうございます😍 (2022年6月19日 19時) (レス) @page49 id: 85091bc4a0 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - Sakuryaさん» まだ見てくださっている方がいると思わなかったので本当に嬉しいです。中学生の時に書き始めてついに大学生になってしまいましたが、大学は暇なので沢山ネタを考えているのでその都度更新していこうと思っています。笑 応援ありがとうございます。 (2019年6月6日 13時) (レス) id: 8fd0d878f8 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 雪華さん» 暫く書いていないので文章も拙い中そんな風に言っていただけで嬉しいです。雪華さん何度もコメント欄？でお見かけした覚えがあります。いつもありがとうございます。 (2019年6月6日 13時) (レス) id: 8fd0d878f8 (このIDを非表示/違反報告)
Sakurya(プロフ) - 更新されたと通知があり、ものすッッごく嬉しくて！！今後もこういったかたちでいいので、私生活に支障が出ない程度に頑張ってください！ジブリのハクを好きでいてよかったと思える作品です！！ (2019年6月5日 21時) (レス) id: e0447573e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/catsong2/
作成日時：2015年8月17日 23時
