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普通に。至って普通に、流されてしまたけれど。
『他の男に唇を奪われたと聞いて、流石に何もしないではいられないだろう』
翌日、私の頭に中には昨夜のハクの言葉が反芻していた。
何故知っているんだ。あの場には私と白澤様しかいなかったはずだ。どうして、ハクの耳に伝わった？
一人で考えていてもしょうがない。数分後、私はもんもんと考えることをやめ油屋の廊下を荒々しく歩いていた。目指しているのは、油屋の上階、いわゆるVIPが泊まる部屋。
彼が泊まる部屋は、襖を開ける直前からむんと甘い香りが漂っていた。
「白澤様っ！」
ガラリと襖を開け仁王立ちで中にいる人を睨みつける。甘い香りの正体は、見舞いにと差し入れられた胡蝶蘭だと気づいた。彼が溺れたのは一昨日のことなのに、部屋には溢れるほどの見舞い品が差し入れられている。
「ん？ アンちゃんじゃん」
布団から上半身を起こして座っている白澤様が、ゆるりと私を見上げて微笑んだ。周囲を数人の湯女が取り囲んでいるが、最早言及に及ばない。
「ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
私は白澤様を体現するかのような胸がもたれるような甘い匂いにも負けないよう、強い口調で言った。彼はだってぇ、と周りの湯女たちを口を少し尖らせて見回した。
「ごめんねぇ、なんか大事な話っぽいから二人っきりにしてくれるかな？」
「えーもう」
「白澤様のいけずぅ」
周囲の湯女たちは文句を垂れながらも、渋々起き上がって席を外してくれた。部屋を出て行く時に彼に流し目を送ることを忘れず。
「……さて」
部屋に静寂が訪れ、中にはむせ返るような花の香りと私と白澤様だけが残された。
「今日は、何を伝えに来たんだい？」
白澤様がにこりと笑い、切れ長の瞳が狐になった。
「えっと……体はもう大丈夫なんですか？」
私はなんとなく勢いを削がれて、とりあえず挨拶程度の見舞いを述べた。
「うん、まーちょっとキツいかなぁ〜。まー僕死なないからいいんだけどさ、肺炎的なものになったのかもね、なんて」
人間だったらこんな大した治療薬もない場所で肺炎になったら死んでもおかしくない。そうならないのはやはり神なのだから、と思い同時にではあの時助ける必要があったのか？と考えた。
「でも、君が聞きにきたのはそんなことじゃないでしょ？ 目がそう言ってるよ」
そう言って白澤様はふっと笑った。流石、見通されてる。まああんな意気込んで入ってきたなら当然か。
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季紀(プロフ) - 一葉さん» 3周も読んでくださる方がいるなんて、感無量です（ ; ; ） 感謝の気持ちで一杯です☺︎ ありがとうございます！ (2022年6月19日 20時) (
レス) id: 597a075cd6 (このIDを非表示/違反報告)
一葉(プロフ) - 見てるこっちもキュンキュンして、かれこれ3周目です笑この様な最高の作品を作ってくれてありがとうございます😍 (2022年6月19日 19時) (レス) @page49 id: 85091bc4a0 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - Sakuryaさん» まだ見てくださっている方がいると思わなかったので本当に嬉しいです。中学生の時に書き始めてついに大学生になってしまいましたが、大学は暇なので沢山ネタを考えているのでその都度更新していこうと思っています。笑 応援ありがとうございます。 (2019年6月6日 13時) (レス) id: 8fd0d878f8 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 雪華さん» 暫く書いていないので文章も拙い中そんな風に言っていただけで嬉しいです。雪華さん何度もコメント欄？でお見かけした覚えがあります。いつもありがとうございます。 (2019年6月6日 13時) (レス) id: 8fd0d878f8 (このIDを非表示/違反報告)
Sakurya(プロフ) - 更新されたと通知があり、ものすッッごく嬉しくて！！今後もこういったかたちでいいので、私生活に支障が出ない程度に頑張ってください！ジブリのハクを好きでいてよかったと思える作品です！！ (2019年6月5日 21時) (レス) id: e0447573e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/catsong2/
作成日時：2015年8月17日 23時
