自爆 ページ4
「ねえ、ハク様って本当綺麗よね」
「聞いてよ、あたしハク様のお茶汲み係になっちゃったのよ!」
(なれるものなら私だってハクのお茶汲み係になりたいよ)
溜息を吐きながらふらふらと廊下を歩き回る。ここ最近、仕事がない。時期社長夫人だとかいって皆遠慮するのだ。私は今まで通り、大広間に雑巾を滑らせたり美味しそうな料理を運んだりしたいのに。
「どっかに仕事ないかな〜……」
昔は学校に行かないのに憧れたこともあったが、案外自分がそんな身分になってみると辛いものだ。ハクと結婚してずっとこんな生活が続くのかと思うと、少しだけ気が滅入る――
「捕まえろ!」
突然ドタドタという大勢の足音が廊下の曲がり角から聞こえてきた。何事かと振り向く。
「A、逃げろ!」
「――へっ?」
間抜けな声が喉の奥から漏れる。と、鬼のような形相をしたハクが廊下の向こうに、そしてこちらへ向かって走ってくる若い男がひとり。ハクの後ろからもわらわらと従業員たちが走ってくるので、私は焦りに焦った。
なんだ、あの男の人逃げてるってことはハクたちに追いかけられてるってこと? =捕まえればいいの?
「えっと、こうッ!?」
男の正面へと抱き着く。避けられそうになったが、気合で捕まえた。
男はバランスを崩し、私ごと床へと倒れて行った。倒れる拍子にごんっと頭をぶつけた。
かなり重くて体が痛いし視界が真暗だったが、ハクがすぐ来てくれると信じて男の作務衣を掴み続けた。
突然、視界が明るくなる。
「A! 大丈夫か?」
ぷはっと息をして見上げると、ハクが焦った表情で男の首根っこを掴みあげている。その翡翠色の瞳を見て安心できた。
「うん、大丈夫」
「ッ……この馬鹿娘が!」
ハクは何故か舌打ちをし、男を他の従業員の方へ放ってから私を助け起こした。起こされたのはいいが、次の瞬間両肩を掴んで怖い顔で睨まれる。
「何故抱き着いた!?」
「えっ……いやだってさ、あの人逃げてたから捕まえなきゃと思って」
「あいつは窃盗犯だ! 向こうが男だというだけで危険なのに、刃物でも持っていたらどうした!? そなたが人質にでもされていたらただでは収まらなかったぞ!」
「そんなこと言われたって……私は、捕まえたらハクたちの役に立てるかと思っただけだし」
私は間違ったことは言っていないと思う。それなのに何故、こんな恐ろしい顔で説教されなければならないんだろう。解せぬ。
おまけに周りの従業員たちが男を捕縛しながらちらちらと私たちを見てくる。
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季紀(プロフ) - 一葉さん» 3周も読んでくださる方がいるなんて、感無量です（ ; ; ） 感謝の気持ちで一杯です☺︎ ありがとうございます！ (2022年6月19日 20時) (
レス) id: 597a075cd6 (このIDを非表示/違反報告)
一葉(プロフ) - 見てるこっちもキュンキュンして、かれこれ3周目です笑この様な最高の作品を作ってくれてありがとうございます😍 (2022年6月19日 19時) (レス) @page49 id: 85091bc4a0 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - Sakuryaさん» まだ見てくださっている方がいると思わなかったので本当に嬉しいです。中学生の時に書き始めてついに大学生になってしまいましたが、大学は暇なので沢山ネタを考えているのでその都度更新していこうと思っています。笑 応援ありがとうございます。 (2019年6月6日 13時) (レス) id: 8fd0d878f8 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 雪華さん» 暫く書いていないので文章も拙い中そんな風に言っていただけで嬉しいです。雪華さん何度もコメント欄？でお見かけした覚えがあります。いつもありがとうございます。 (2019年6月6日 13時) (レス) id: 8fd0d878f8 (このIDを非表示/違反報告)
Sakurya(プロフ) - 更新されたと通知があり、ものすッッごく嬉しくて！！今後もこういったかたちでいいので、私生活に支障が出ない程度に頑張ってください！ジブリのハクを好きでいてよかったと思える作品です！！ (2019年6月5日 21時) (レス) id: e0447573e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/catsong2/
作成日時：2015年8月17日 23時
