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「私も、そなたがいつかはカオナシと触れ合っていたのかと思うと、それだけで気が狂いそうになるよ。奴が、そなたの心を一時でも奪っていたのかと思うと歯痒くて……」
彼の口から久し振りに聞く美影さんの名前。ハクは私みたいにうだうだと悩むようには見えなかったから、聞いてはいけない話を聞いてしまったように心臓のあたりがひやりとした。何だか息をしてはいけないような気がして、私は思わず呼吸を止めた。
ハクがふっと自嘲気味に笑った。
「どうだ？ こんな未練たらしい私は気持ち悪いだろう？」
「いえ……」
ハクもそんな風に思ったりするのかと、驚きながら彼を見つめた。ハクは微笑んで、私の顎を掴んだままきゅっと引き寄せた。
ふっと柔い息が頬にかかる。
キスされる！
そう感じて、思わず身を引いていた。
「え……」
ハクは驚いて私を見ている。私自身も、驚いていた。
「あ、ごめ……」
反射的に避けていた。ハクの唇が触れるのを。
彼に触れて貰えるのはすごく嬉しいはずなのに、何で。
自分でも、何が何なのか分からなくなってしまって、けれど何かが怖いような気持ち悪いような変な感情が胸を渦巻いていて。
「……ごめんなさい！」
私は慌てて頭を下げて、部屋を飛び出した。後ろでハクがどんな顔をしているかなんて想像したくもなかった。
リカさんは、私の顔を見て眉を顰めた。
「アン、一体何があったっていうのよ。湯婆婆みたいな顔してるわ」
「えっ」
それはやばい。私は慌てて自分の顔を両手で触った。
リカさんは、その様子を見てふふっと笑った。
「嘘よ。でも泣きそうな顔をしてるわ」
「ほんとですか……」
「言ってみてよ、一体何があったのか」
話したい気もした。
でも、あまりにも情けなくて、それにこれを誰かに言うのはハクにとても失礼な気がして結局口に出せなかった。私は虚しく口を開いた。
「リカさん、マリッジブルーって知ってます？」
「え？ まりっじぶるぅ？」
「はい。きっと、それだと思うんですよ。ハハ……」
湯婆婆とかだったら知っているかもしれないけれど、流石にリカさんは知らなかったみたいで首を捻っていた。まあこちらは、分からないで居てくれた方が助かる。
リカさんも気遣ってくれたのか、暫く私と彼女との間にその話題が上ることはなかった。
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季紀(プロフ) - 一葉さん» 3周も読んでくださる方がいるなんて、感無量です（ ; ; ） 感謝の気持ちで一杯です☺︎ ありがとうございます！ (2022年6月19日 20時) (
レス) id: 597a075cd6 (このIDを非表示/違反報告)
一葉(プロフ) - 見てるこっちもキュンキュンして、かれこれ3周目です笑この様な最高の作品を作ってくれてありがとうございます😍 (2022年6月19日 19時) (レス) @page49 id: 85091bc4a0 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - Sakuryaさん» まだ見てくださっている方がいると思わなかったので本当に嬉しいです。中学生の時に書き始めてついに大学生になってしまいましたが、大学は暇なので沢山ネタを考えているのでその都度更新していこうと思っています。笑 応援ありがとうございます。 (2019年6月6日 13時) (レス) id: 8fd0d878f8 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 雪華さん» 暫く書いていないので文章も拙い中そんな風に言っていただけで嬉しいです。雪華さん何度もコメント欄？でお見かけした覚えがあります。いつもありがとうございます。 (2019年6月6日 13時) (レス) id: 8fd0d878f8 (このIDを非表示/違反報告)
Sakurya(プロフ) - 更新されたと通知があり、ものすッッごく嬉しくて！！今後もこういったかたちでいいので、私生活に支障が出ない程度に頑張ってください！ジブリのハクを好きでいてよかったと思える作品です！！ (2019年6月5日 21時) (レス) id: e0447573e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/catsong2/
作成日時：2015年8月17日 23時
