生まれた不安 ページ6
(……どうしよう)
トイレ(この世界の人は厠と呼ぶ)から出た私は、順番待ちの人がいないのを良いことにドアの前にもたれ掛かって溜息を吐いた。
そこを通り掛かったリカさんが私に気が付いて声を掛けた。
「あら、(人1)じゃない。厠に人を入れたくないの?」
「違います!」
「どうしたのよ」
そう尋ねられて答えるのを少し躊躇ったが、女同士だしと腹を括ることにした。
「生理が……生理が、2ヶ月来ないんです」
「あら、何かの病気かしら?」
「分からないんですけど、体も少しだるくて吐き気がします」
リカさんはそれは困るわねと言って首を傾げた。そして、はたと何かに気が付いたらしく桜貝のような爪先で口元を押さえた。
「(人1)、すっごい訊きにくいんだけど……」
「え、何ですか?」
私が尋ねるとリカさんは言いづらそうに足元に視線を落とした。普段の彼女ならぬ様子に私は少し不安になる。
「最後に、ハク様とシたのっていつかしら」
「……は!?」
「お願い、答えて」
いきなり不躾な質問をされて驚いたが、普段の彼女の人柄のことと、いつになく真剣な表情をしているのもあり私はもごもごと口を開いた。
「さ、最後は2ヶ月半前とか」
「中に出された?」
質問に何の意図が隠されているのか分からず、訝しく思いながら彼女の瞳を見つめ返した。
「1回くらいは出した、かもしれないです」
「あら……」
リカさんは小さく首を振って溜息を吐いた。何を言わんとしているのか分からず意味を訊こうとして、あることに気が付いてハッとする。
胸の奥がきゅっとなった。
今までの自分とはかけ離れすぎていて可能性を考えてさえいなかった。まさか……でも、もうあり得ない話じゃない。
私は眉尻を下げてリカさんを見上げた。
「……妊娠、したんでしょうか」
「大丈夫、って言ってあげられれば良いんだけど……私も何とも言えないわ」
目の前が真暗になった気がした。心臓の音がどんどん大きくなる。呼吸が苦しくなり、自分を落ち着かせようとして乾いた空気を胸に吸い込んだ。
床に座り込みそうになるところを、リカさんが肩を抱いて支えてくれた。甘い果実のような香りが花を突き抜ける。
「私達湯女はお客さんとの子を孕まないよう湯婆婆様から特殊なお薬を頂いているのだけど、(人1)は枕営業はしてないものね」
「……どうしよう」
「まだ決まった訳じゃないし。そんなに落ち込んだら本当に病気になっちゃうわ」
優しく笑う彼女に少し救われた気がした。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
