同じ空気を吸ってれば ページ45
「Aちゃ〜ん」
私はたらんたらんとしたその立ち姿に辟易して眉をしかめた。立ち止まると、後ろを歩いていた美影さんも同じく足を止めた。白澤様、彼は神であり妖怪の長とかいう凄い人でもあるけれども一番人間らしさがプンプンする人物だった。
「何ですか」
私が問うた。
「白澤様、湯屋の分館建設案に参画するとかおっしゃってませんでした? 何でそんなに暇そうなの?」
「もうー、相変わらず連れないなぁ。僕はAを心配して来てあげたのにさ?」
背後の美影さんが怪訝そうな表情をするのが分かった。彼と白澤様はそれ程面識もないので当然だ。白澤様はそれをちらと目の端で見やってから、屈んで私の耳元に唇を近付けた。
「妊娠。してたかもって、大騒ぎだったんでしょ?」
「ッ!」
胸の奥が氷を当てられたようにすっと冷えた気がした。私は目を見開き狐のように弧を描いた笑い目を見上げる。そこからはいたずらっぽさ以外の感情は見受けられなかった。でも、彼はそれを表に出さないだけで胸の奥深くでは色々と考えているはずだ。
「誰から聞いたんですか」
「んー? 風の噂ってやつ?」
私は目に力を込めて白澤様を睨み付けた。絶対嘘だ。ミナさんやリカさんがわざわざ口外するはずもないから、きっと独自の情報網から入手したのだろう。私が何か言うよりも早く、白澤様は骨ばった手で私の掌を開かせると中に何かの小さな袋のようなものを数個押し込んだ。
「……今度は幸せになりなね」
弧の形をしていた目がすっと開き、陽に透けて薄い色の虹彩がよく見えた。それは不思議な色を含んでいて怪訝に思い見つめ返すと、彼は私の肩にぽんと手を置いてからさっさと美影さんの方へ歩いていった。身長は同じくらい、あるいは少し白澤様の方が高いだろうか。彼はいつも通りにこにこ笑いながら状況をよく理解していない美影さんの顔を覗き込んだ。
「美影、久し振り。湯屋の分館計画については頑張ろうね」
「あ、はぁ……」
そうか。白澤様が分館のオーナーになるんだっけ。そのことで話してるから二人は一応顔見知りなんだ。
「あ、白澤様!」
そのまま場を去ろうとした白澤様に私は必死で呼びかけた。だって、両手を両手を跨ぐ程に私の掌は彼から受け取ったもので沢山だったからだ。
と、白澤様は肩越しに私を振り返った。ご機嫌に硬貨の耳飾りが揺れる。
「それ。使うといいよ」
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
