私はただの通行人 ページ41
何回かハクの部屋へと通った時の記憶を慎重に引き出しながら、廊下を進み、時には曲がってようやくある一室の前へと辿り着いた。私が間違っていなければ、ここがハクの部屋のはずだ。中からは少しの物音が聞こえてくる。起きているのかな。
「勇気出せ私、頑張るぞ……」
小さく自分に言い聞かせながら、震える手を扉へ伸ばす。ノックしようとした時、不意に部屋の中から話し声が近付いてきた。と、不意にドアノブが回って部屋の扉が開いた。目の前で開いた扉は私の姿を向こうから隠し、同時に私にも目隠しができて扉しか状態になった。会話する声が廊下へと響いてくる。
「じゃあね。また来るわ」
「……別にもう来なくていい」
「次こそは、あなたから私を求めさせてみせるから」
鈴を転がすような、女のものとすぐに分かる声。男の方は多分ハクだ。誰かがハクの部屋にいた。頭がフリーズして真白になるのを感じた。
「ねぇ、キスして?」
その言葉にハクの返事はなかったが、代わりに十数秒経ってから小さなリップ音が聞こえた。それに女の方は上機嫌になったらしく、あとでねといって廊下を歩き出した。私は彼女が誰なのか分かってしまった。かつては親友だった人。扉の向こうに、ちらと廊下を歩いてゆく後ろ姿が見えた。……千尋だ。胸に抱いた羽織を、思わずぎゅっと握りしめた。
と、扉を隔ててすぐ隣にいるハクのぼやく声がした。
「あいつ、ちゃんと帰れるのかな……」
白い手が伸びてきて扉の端、私よりも目線の高い所を掴んだ。扉を半分程閉め、廊下へと進み出てくる。さらりと黒髪が揺れる光景は、今まで幾度となく見てきたものだ。彼は白い浴衣を緩く纏っている。腰に手を当てながら、千尋の姿が廊下の曲がり角に消えるまで確認するように見つめていた。彼女が見えなくなると、ハクは小さく息を吐いて部屋に戻ろうと振り返った。と、室内に向かっていた彼の視線が一瞬止まり、それからゆっくりと私に移った。翡翠の瞳を受けて、私は恐る恐る上目遣いで会釈をした。
髪を切ったのか、出会った頃の長さに戻っている。彼は柳眉を持ち上げ、瞳を見開いた。長い睫毛の影ができる。何か重荷を振り払うように腰に当てた手で背中を何回か擦っていた。
「……やあ」
彼が言った。
「げ、元気そうで何より」
上ずった声で私が言った。
ハクにしては珍しく、視線が定まらなくあっちこっちをいっていた。彼は戸惑うように私の全身の見下ろし、胸に白い羽織を抱えていることに気が付いた。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
