高血圧 ページ40
朝早くのことだった。例のごとく、高血圧の老人のように早く目が覚めてしまう。チュンチュンと鳥の声がしていた。同室の湯女たちはまだぐっすりと夢の中だ。皆は私と違い、ソウイウシゴトも受け持っているから疲れているのだろう。……私がこうして体を蝕まれる苦痛とは無縁でいられるのも、ハクが湯婆婆に交渉してくれたおかげだっけ。
そうだ、ハクといえば。
私は枕の下に珍しく綺麗に畳んだそれを引き出した。いつかのお風呂掃除の時に彼が私に貸してくれた羽織だ。その白い布地がどこかハクの生き方と重なって見えて、朝から喉元に熱いものが込み上げてくるのを感じた。
すっかり返すの忘れてたな。なんか、ハクがいるみたいで安心しちゃって。でも、もう返さなきゃ……
どうせなら従業員の少ない今、行ってしまおうか。……ちょっとだけ、ハクに会いたいし。何て、未練がましいかもしれないけれど、借り物を返すだけなら何もやましいことなんてないはず……そう考えてから私は気づいた。やましいのではないかと考えてしまう時点で、それは人には公表しづらい意味を持ってしまうのだ。
上半身だけ起こしたまま、じっと朝陽の差し込むガラス戸を見つめた。
今更自分の気持ちに蓋をする必要はないのかもしれない。私はハクに会いたい。ハクに微笑んで欲しい。そなたが一番だと、あの優しい声で告げられるのを願っている。
私は――まだ、ハクのことが好きなんだ。
いや違う、ともう一人の私が否定した。最近別れたばかりだから気になっているだけだ。何、初めてできた恋人だったから忘れられないだけよ。
そんなことはない、と考え直す。ずっとずっと美影さんといてもハクのことが思い出されるのは、やはりまだハクへと気持ちが向いているから。でも、今の私が愛すべき人は美影さんただ一人なのだから、もし本当にハクのことがまだ好きなのだとしたらその想いは断ち切るべきだ――
……ごちゃごちゃ考えていても仕方がない。未練を捨てるためにも、とりあえずこの羽織はハクへと返すべきだ。
私は顔を洗い、軽く身支度を整えて部屋を出た。もちろん、向かうべきはかなりの上階にあるハクの私室だ。
朝の湯屋はけばけばしい装飾の割に空気は凛と澄み切っていて、小さなガラス窓からは美しい燃ゆる太陽を覗くことができた。……それが余計に私の心を昂ぶらせる。
エレベーターの扉が開いた。目的の階に着いたのだ。ここは下階とは違い、全体的に薄暗くて空気も重かった。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
