卑怯は承知 ページ39
ハクのものと分かる温かい息が唇にかかる。距離はあと数センチあるかどうか、だ。どうしよう、このままキスできるかな。でも、ハクは魔法を使って私を弾き飛ばすかも。
様々な憶測が脳裏を過ったが、実際二人の唇は気が抜ける程すんなりと合わさった。ハクは人形のように翡翠の瞳を開いたままだった。
「んっ……」
こんな時にまで、彼は可愛い元恋人のことを考えているのだろうか。想い人と唇を重ねられたという幸福感と、圧倒的な敗北感が千尋を包んだ。何で私こんなことしてるんだろう、私は。こんなの、無理矢理してるだけじゃない。ハクにリードしてキスして貰うのが長年の夢だったのに。
でも、僅かな優越感があるから今更後には退けない。千尋は夢中になってどこか甘い香りのする唇を食んだ。こんな形になるはずではなかったが、物質的にはハクが手に入ったのだ。
舌を這わせると、唾液が混ざり合った。
「はぁっ……」
体中の細胞が騒ぐのを感じる。ようやく唇を離すと、何本もの銀の糸が連なった。千尋の頬はすっかり朱に染まっている。ハクは下になったまま、眉をしかめて口元を拭った。
「そんな口付けをどこで覚えてきたんだ」
「いつか、ハクとすると思ったから」
「……積極的だな」
嫌なのか、嫌ではないのかどっちつかずの態度に腹が立った。ハクと千尋が結ばれることはもう決まっている。Aとカオナシが結ばれることも。運命は変えようがないんだから、今更悩むなどしなければいいのに。
千尋はハクの着物の胸元へ、手を平にして差し込んだ。鎖骨をなぞり、胸板にそっと掌を這わせる。随分ときめ細かい肌だ。口付けたいと思ってしまうのは変態みたいだろうか。
この体に滅茶苦茶にされたい。初めては痛いというけれど、相手がハクならそれだってきっと思い出になる。何を隠そう、ずっとそれを望んできたのだから。
それでも尚、Aに気が向くというのなら――既成事実を作ってしまえば良いのだ。
「……ハク、私もう子供じゃないよ。子供を作ることのできる体になった。ちょっとだけ怖いけれど、相手があなたなら大丈夫……」
襟元を掻き分けて鎖骨に唇を落とす。
戸惑うことはない。自分を含め、神隠しの時と変わっていないものは何もないのだから。
それに、Aを守りたいのなら尚更ハクは抵抗できないはずだ。
「お願い。千を一生の神隠しにあわせて」
震える声で、自分よりも一回り大きな体を抱き締めた。ハクの翡翠の瞳が初めて揺れた。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
