雨傘の下で ページ34
正直言って、ハクは私を大嫌いになったという様子ではなかった。これが私の自惚れだったら散々な話だけど、まだ私に気持ちがあるように見えた。
でも、そうなると何故千尋と婚約したのか説明がつかない。冷静に考えてみると、彼が簡単に愛情覆すような人(?)ではないということが分かる。千尋のことをただ単純に好きになったのではなく、湯婆婆も婚約発表の場にいたことを考えるともしかすると裏で取り引きがされたのかもしれない。とても優しい人だし、きっと絶対に引かざるを得ない条件を提示されたんだ。
その条件とは? ハクはどちらかというと完璧主義者で弱点を作らない人だし、湯婆婆の脅しに動じるとは思えない。きっと、ハクの何か大切なものを引合に出されたんだ。
ハクの大事なもの……私?
そう考えてぶんぶんと首を振る。自惚れちゃいけない。そう考えるのは私がハクにとってまだ大切な人だと私が思い込みたいからだ。
ても、もしそうだとしたら……
「A、危ない！」
パシャッと水の跳ねる音がした後、肩をぐっと抱かれて誰かの胸へ強く引き寄せられた。思想の世界から現実へと引き戻される。私はぼうっとしたまま横に立つ人を見上げた。
「濡れてない⁉」
美影さんが、片手に和傘を掲げて心配そうな表情で私の顔を覗き込んでいた。彼の向こうに一面が雲に覆われた空と商店街の軒並みから滴る雨水が見える。
小さく頷くと、彼はほっとしたように屈めていた背を真っ直ぐにし、着物の襟元を揃えた。
「……良かった。だってあいつ、脇目も振らず進んでくんだもん」
彼の指差す方向には、雨で多少ぼやけるが商店街の角を曲がってゆく荷車を押した蛙男の姿があった。猛スピードの荷車が通り過ぎる先々で水が跳ねたのか悲鳴が上がる。もし美影さんが引き寄せてくれなければ私ももれなく仲間入りしていたことだろう。
ハクだったら、怒って間違いなく怒鳴りつけていただろうな……とか、考えない考えない。
「ありがとうございます」
軽く微笑むと、美影さんは数回瞬きしてから別に、と言って前を向いた。
……何でこんな塩対応なんだ。私なんかしたっけ?
「あ、この店に入ろう」
彼は入り口に扉がなく開けっぴろげになっている店を見やり、再び私の傘を抱いた。とりあえず怒っている訳ではなさそうだと知りほっとする。
と、密着するとただでさえ外界の音が雨で遮断されているのに美影さんの体温しか感じられなくなってしまう。二人の世界、ってやつかな?
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
