テレカクシ ページ4
「はァ? 何だよそれ。あいつ髪伸びてきて調子乗ってんの?」
「いや、それは関係ないと……」
「散々思わせぶりなこと言っといてさ、それは男として最低だよ」
突然泣き出した私を心配した美影さんにこの数週間の出来事を話すと、彼は珍しく激しい男言葉で遺憾の意を示してくれた。ハクに申し訳ない気もするけれど、自分を肯定してくれる人がいるというのはやはり嬉しい。
「……美影さんも、会ったばかりの時は結構酷いことしてきましたけどね」
「や、だからあれは本当ごめんって! だから僕、お詫びに舞教えたのに!」
「ふふ、今でも感謝してますよ」
そう言って笑うと美影さんはほっとした顔つきになった。今でも反省してくれているのだろう。あの時はかなり傷付いたけれど、今となってはもう昔の思い出だった。
流石に足の間で向かい合って座る姿勢を続けていると辛い。私はもぞもぞと腰を浮かして彼の太ももの上にそっと座った。そのまま胸にもたれ掛かると、彼は戸惑ったように私を見下ろした。
「……A、どうしたの? 具合でも悪い?」
「くっついてたいんです。誰かと」
「はっ……」
既に1度おぶられて体重は知られているし。
私は美影さんの左胸にぴったりと顔を付けた。少し動悸の早い心臓の音が聞こえてきた。
「美影さん、大好き」
「ッ……」
視線が違うから分からないけれど、頭上で彼が口元を拭うのが分かった。私の後頭部に沿うように持ち上げられた腕は、何故か顔を隠すように伸びている。一定のリズムだった動悸がドクドクと早くなって行った。
もしかして、具合が悪いのかと聞いてくれた美影さんの方が身体の調子が良くないのではないかと心配になり、顔を上げて彼を見上げた。
「美影さん?」
「……馬鹿」
「はい?」
「馬鹿野郎」
言葉に反して彼の顔は真赤、というか頬全体が桜色に染まっていた。口元を節々の出っ張った手で押さえ、私から視線を逸らしている。
野郎じゃないし、と言い返そうとした口が言葉を発することなく閉じた。同時に、自分が何をしていたのか自覚して恥ずかしくなる。私は慌てて彼の脚から縁側へと移った。
何となく照れ臭い、気まずい空気が流れる。
「……すいません」
「……べ、別に」
美影さんは癖のかかった髪を耳に掛けると、不自然な方向へ目をやった。照れ隠しであることが分かり、いつも通りにすることが出来なくなる。何故か彼を異性と意識してしまう。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 425人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
