診察 ページ26
と、ハクが私の頬に当てていた手を下ろした。すぐに強い力で私の手首を掴む。
「子がいるかどうか、私が診てやる」
「え、そんなこと出来るの?」
「私を誰だと思っている?」
……湯屋の独裁者ハク様。とは口に出さず、神様だよね、と笑ってみせた。ハクは睫毛を瞬かせて目を細くした。
「そう。神をなめるなよ。うんと、どこか良い場所はないかな……」
彼は私の手を掴んだきょろきょろと周りを見回す。しかし、辺りには豚舎と花々の咲く茂みしか見つからず顔をしかめた。ハクは結構気分の上がり下がりが激しいので機嫌が悪くならないかとハラハラしていると、彼は湯屋と反対の方向へと歩き始めた。
「どこ行くの?」
「横になれるような場所を探しているんだ」
……横になれるような場所?
何をするのか気になったけれど、いずれ分かるだろうと思ってそのままにしておくことにした。やがて私達は豚舎を遠回りに避けて草原を程なく進んだ所にある小さなベンチのような所に来た。そこは屋根のない小さな無人駅のような所で、目の前には湯屋の方から草原の奥の方まで1本の線路が続いている。
「この線路はどこに続いているの?」
そう尋ねると、ハクはベンチに私を座らながら答えた。
「この世界の果てに近い所まで」
「世界の果てなんてあるんだ」
「現世とは違ってある場所まで行くとその先には何も無くなるんだ。天界へ進んでいるという噂もあるけれどね」
「へぇ……なんか、私も電車に乗ってみたかったな」
「同感だ。……私も、そなたを色々な所へ連れて行ってやりたかった」
ハクが薄く微笑んだ。少し胸が苦しくなって、私は彼から目を逸らした。
大きな波のように風が草原を吹き抜けてゆく。草原と青い空は果てしなく続いていて、やがては境界が分からなくなる。生と死の堺が曖昧なこの世界のようだと思った。
何だろう、無性に切なくなってくる。
私の黄昏れをハクの次の一言がぶち壊した。
「じゃあ、腹を出して横になって」
私は思わず眉を潜めてえっ、と訊き返した。
「今何て言った?」
「だから、腹を出して横になれと」
「はぁ!?」
何を言っているんだと私は彼を二度見したが、彼はいたって正気のようだった。私は咄嗟に嫌だと首を振る。
「恥ずかしいから嫌よ」
「そうしないと診れない」
……だから、横になれる場所云々など言っていたのか。
私は溜息を吐いてベンチに手を突いた。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
