無視しなくたっていいじゃん ページ24
屋根の付いた大きな建物があり、そこには何故か多くの豚が収められている。橋の前から見えた建物はきっとこれだ。建物の向こうにはひたすら青い草原が広がっており、線路と数件の家屋さえ見受けられる。
「……湯屋にもこんな場所あったんだ」
私の世界は狭い湯屋とその周辺だけだったんだ。もっと早くこの世界にも色々な場所があることを知っていたら。井の中の蛙大海を知らずとは私のことかもしれない。
私は放心して、互いに鼻を擦り付け合う豚達を見つめていた。
と、背後からガサガサと音が聞こえてきた。多分私が通って来た小道からだ。
誰か来るのだろうか。湯屋の人かな?
私は後ろを振り返り、ドキドキしながら人が現れるのを待った。と、絹糸のように癖がなくしなやかな黒髪が紅梅色の花の向こうから現れた。
「全く、誰だ無理矢理ここを通り抜けたのは……」
ぶつぶつと呟く声がする。私は現れた人物を見て愕然とした。タイミングが悪すぎる。どこかに隠れたいと願ったが、それはもう遅かった。
珍しく淡い藤色のグラデーションの羽織を着たその人物は、髪についた葉を手で払いながら顔を上げた。そして、私と目が合った。
翡翠の瞳の瞳孔が猫のように大きくなった。手の動きもそのままに私を見つめている。久し振りに見ると、人形のように精巧なその顔立ちは尚も美しく感じられた。
気まずい空気に耐えられず、私ははにかんで彼に会釈をした。と、彼は我に返ったように身じろぎをし、くるりと踵を返して花の小道へ引き返した。
いや、こっちが会釈までしたのに何で無視するのさ!? そこんとこ子供っぽいな!
「ちょっとハク、待ってっ」
そう声を掛けても彼は私を振り返ろうともしない。迷いなく来た道を戻っていた。
本当のことを言えば、私にだって特に彼を引き留める理由等ある訳ではなかった。元恋人なんて話しても気まずくなるだけだ。
それなのに、何故か少しでも彼と接点を持ちたいと願ってしまう。
「ねぇ、待ってって! ハクの馬鹿!」
普段のハクは馬鹿と言うと不機嫌になるが、今日はそれさえも気にならないようだった。いや、もしかすると心の中では怒っているのかもしれない。でも、私からはよく締まった背中しか見ることができなかった。
今や彼の袴が茂みの向こうに消えようとしていた。いや、消えた。
無駄かもしれない。そうと分かっていても、声を張り上げた。
「ハクの赤ちゃんが出来たかもしれないの!」
私の声は空に反響して響いた。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
