怪我 ページ18
「A、身体大丈夫? どっか痛い所ない?」
「だ、大丈夫……」
長身を屈めて顔を覗き込んできた美影さんに、私は少し戸惑いながらはにかんだ。彼はそう、と微笑んで頷くと私の肩を抱いて目の前の扉をノックした。突然喋り出すことのある人の顔をしたドアノブは不思議そうに私達を見上げていた。
「湯婆婆、美影だけど! 入るよ!」
彼は許可の返事が下りるのも待たず、勝手に扉を開けて部屋へと入った。おばあちゃんの家に遊びに来た孫か、と突っ込みたくなる。
湯婆婆は不機嫌そうに書斎の向こうで椅子に腰かけていた。彼はにこやかに話し掛ける。
「ねぇ、湯婆婆Aちょうだい」
「あ? 嫌だよ」
湯婆婆が眉間に皺を寄せてギョロリと私達を睨み付けた。
……即答。
でも彼はなかなか諦めない。
「そんなカッカしてたら血圧上がって早死にするよ?」
「余計な世話だよ」
「ほら、僕ちゃんとAのこと大切にするからさ」
ね? と美影さんが首を傾げた。湯婆婆はフンと鼻を鳴らし、手をさっと振り払った。途端、書斎の上にあった万年筆が持ち上がり私達へ向けて一直線に飛んでくる。私はそれを見つめたまま身体が凍り付いて動かなくなってしまう。
「何すんだよ!」
私の前に大きな背中が立ちはだかる。一瞬のことだったが、美影さんが万年筆から私を庇ってくれたらしい。湯婆婆を睨み付ける彼の頬にはくっきりと赤く線が浮き出ていた。
「美影さん!」
血!?
慌てて駆け寄ろうとした私を手で制し、彼はそっぽを向き続ける湯婆婆へと近づく。書斎の上へ万年筆を放り投げた。
「Aが怪我でもしたらどうするつもりだったの!?」
「(人1)を大切にするかどうかは関係ないんだよ。問題は引き取ってあんたが湯屋に来なくなったら、今まであんたが貢いでた収入はどっから入ってくるのかってことだ」
「……ねぇ、お願いだからちゃんと考えてよ。金だって高値にしてきたからさ」
「ほう。いくらだい?」
湯婆婆が初めてこちらの話に関心を持った。やっぱりクソババアと金は切っても切り離せない。
何だか2人が私の知らない話をしているので、私は美影さんの後ろから黙って取引の様子を見つめているしかなかった。
「……百万元」
美影さんが書斎に両手を突いた。強い眼光で湯婆婆を見据える。
湯婆婆はふっと笑って首を横に振った。
「駄目だね、私はまだ……」
「五千万元。そう思ったから僕も準備してきたんだ。これで、どう?」
湯婆婆が驚いたように目を見開く。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
