若き竜の苦悩 ページ17
最近、やけに湯婆婆に仕事を押し付けられる。まるで自分に暇を与えさせないようかのように。
ハクは縁側前の廊下を歩きながら伸びをした。そろそろ切ろうかな、と伸びてきた髪に触れる。やろうと思えば神はすぐに姿を変えられるのだが、Aが気持ち良いと言って梳いてくるからそのままにしていた。
――だが、それももう私には関係ないことだ
ゆるやかな夕焼けの午後だった。ハクはふとガラス戸の向こうの庭へと目をやった。数人の従業員が何やら楓の木の下で団らんしている。
……仕事をサボっているのか
眉を潜めそうになった時、その中に元恋人の姿を見つけて彼の表情は明るくなった。だが、それも束の間のことで、彼女が泣いていることに気が付いた彼の表情は再び険しくなる。
誰かに泣かされたのだろうか、とAの周りを見渡した彼の翡翠の瞳が1人の客の姿を捉えた。彼の天敵であり、宿敵であるカオナシだった。
「あやつ、私がいないからと調子に乗りおってッ―――!」
咄嗟にガラスの引き戸に指を掛けた。そのまま横に引こうとした彼の指の動きが止まる。
カオナシがAを抱き締めていた。そっと、優しく、大切そうに。Aも逆らおうとせず、ただ黙って抱かれていた。
――2人はそういう関係になったのか?
引き戸に掛けた指が力なく落ちてゆく。踏み出した足はそれ以上歩を進めることはなかった。
脳裏に響くのは湯婆婆の声。
『私はあの子を美影にやろうと思っているよ』
『可哀想なハク竜。みすみす好きな娘をライバルに渡さなければならないなんてね』
『それもこれも、あの子を気に入ってこの世界にずっと置き続けたあんたのせいだよ』
『あんたが欲を出さなければこんなことにはならなかった』
――そうだ。
私が、Aを元の世界へ返そうとしなかったから。そうしなければならぬと頭では分かりつつも、欲を出したから。
これは罰なのか。
美影に口付けされているAを見て苛ついて、一方的に別れを宣言してしまった。だが、今思い返せば自分はちっとも本気で彼女と別れようと思っていなかったのだ。
彼女は、何故私が千尋と婚約したかも分かっていないだろう。
私のことを最低な男と思っているのだろうか。……そうだろうな。
だって、実際最低な男なのだから。
「……私のことなんてもう忘れて、幸せになってくれ」
小さな声でぽつりと呟き、ハクはその場を去った。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
