違う道を ページ16
……この際、ハクのことは忘れて、私のことを1番に考えてくれる人を選ぶことも1つの手ではないか。
頬に添えられた美影さんの手に自身の掌を重ねる。私よりずっと大きな手で少しびっくりした。
「……私、美影さんとお付き合いしても、凄く失礼なことしちゃうかも」
「失礼なこと?」
「ハクとの思い出とかまだ忘れられそうにないし、千尋とハクが一緒にいる所を見ると胸がズキズキする。それって多分、凄く美影さんに失礼なことだと思うから」
これで流石に彼も嫌がるだろうか。
私は眉尻を下げて彼の反応を待った。彼は一瞬下唇を噛んだ後、私の頬を包んでいた手を解いた。そして、おもむろにそれを私の背に回して優しく抱き寄せた。
「良いよ。あいつのことなんか忘れさせて、Aの中を僕でいっぱいにしちゃうから」
再び頬に触れる黒髪。
――普通こんなこと言われたら断るだろうに。優しすぎるよ。
思わず涙が溢れそうになりながら、私は小さくはいと言って頷いた。戸惑いながら、そっと美影さんの背中に腕を回す。意外と大きな背中で、腕が回り切らなくて戸惑った。
「……私も、美影さんとお付き合いしたいです」
そう言うと、今度はいきなりぎゅっと強い力で抱き寄せられた。私は彼の胸に顔が埋まり、息が出来なくなってしまう。苦しくてじたばたともがいた。洗濯剤の香りも楽しむ余裕がない。
美影さんがリカさんを振り返り、満面の笑みを浮かべながら高く手を上げた。
「リカ! 聞いた!?」
「ええ、聞いてたわよ」
「付き合うって! 僕とAが付き合うんだよ! 彼氏と彼女!」
「そうね」
「そして、行く行くは夫と妻! やったぜ!」
「ひょっふぉ、ふぃふぁふぇふぁんふふふぃー(ちょっと、美影さん苦しい)!」
遠くに美影さんが叫ぶ声を聞きながら、私は彼の腕の中で胸板を叩いてもがく。ようやく腕の力が弱まった時には、慌てて彼の胸から顔を離し新鮮な空気を吸い込んだ。
「死ぬかと思った……!」
ぜぇはぁと息をする私の背をリカさんが優しく撫でてくれる。
「やったじゃない! これで安泰間違いなしね」
「Aの頼みなら何でも聞くよ」
私より美影さんとリカさんの方がテンションが高い。まだ息を乱しながら、私は笑顔の2人に囲まれ、釣られてふっと微笑んでしまう。この後暫く仕事を抜け出したことを兄役にしこたま叱られることになるのだが、妊娠の可能性によってどん底だった私の心は少し軽くなった。
目の端にちらりと映った人物に気付くこともなく。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
