穏やかな波に行き場なく漂う ページ2
『どうしたんだい、ふざけた格好をして』
『……お願いします。彼女を僕に下さい』
『嫌だね。あの子はあれで湯屋の大切な収入源だ』
『代価はちゃんと支払う』
『ほう?』
『五百元でどう?』
『……0の位が増えるまで私は譲らないよ。帰った帰った』
*
ハクが何で千尋と婚約したのかも分からず、ただもやもやとする日々を送った。ハクや千尋を見かけると悉(ことごと)く従業員やお客様に祝いの言葉を掛けられていた。ミナさんやリカさんは婚約した2人に対して憤ってくれたが、それ以外の従業員は大抵が私を避けていた。
やはり、人間もこの世界の者も変わらず有望と見なした者にはすり寄り、利がないと判断すると呆気ない程あっさりと去ってゆくのだと感じた。
でも、ミナさんとリカさんがそういう人達じゃないと分かったことが今の私の救いだった。
廊下を歩くだけで行き交う人々に噂される。私とハクの恋愛事情を知らないお客様からは、2人の婚約がめでたいという話を持ちかけられる。ハクはすれ違っても私に目も合わせない。
……1人だ。そう感じた。
辛い時、いつも傍にいてくれたハクの存在の大きさを今になって思い知った。彼がいなくなると、ただでさえ取り柄のない私にはもう何も残らない。舞を踊っても身が入らなくて、拍手を一つされる度に心が空っぽになっていった。
誰でも良いから、仲の良い人に会いたいと思った。でも、最近美影さんはぷっつりと湯屋に足を運ばなくなったし、白澤様も仕事が忙しいとらしくないことを言ってこの所姿を見せていない。
人間だからと何かを言われることには慣れていたが、人々の暇つぶしの的となってあることないこと日々噂されるのには耐えられなかった。
婚約が発表されてから3週間も経つと、孤独感は強くなり人と会うのが怖くなった。裏で何かを言っているんじゃないかと、そう疑ってしまう。不毛なのは自分が1番分かっているのだけれど。
……私ってこんな弱かったっけなぁ。
洗濯中、縁側に水を捨てに出て空を見上げた。綺麗な青空には小さな雲が大海原に取り残されたいかだのように浮かんでいた。
と、ふと後ろの方から喧噪が聞こえてきた。
「お部屋へ向かわれないんですか」
「だから用事を見つけたんだって」
「ですが、お料理も女も既に用意して」
「後でたっぷり金を払うから!」
客と蛙男が揉めているらしい。蛙男は金を払う、という言葉に渋々引き下がった。随分と太っ腹なお客だ。おそらく、かなり上級の神だろう。
★ハクちゃまの秘密★
おかっぱと言われると腹が立つ。
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モッケ - 本当にごめんなさい、許してください (2015年6月27日 13時) (
レス) id: 7cabc5d692 (このIDを非表示/違反報告)
星宙(プロフ) - 季紀さん» 年がら年中からかわれてたら嫌になるもん！ おかすぃくないよー♪ やっちゃった…美影さん犯罪に手を出してしまった…←笑笑 (2015年5月23日 20時) (レス) id: d32e317eb5 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 星宙さん» からかいづらいと言われて喜ぶ人も私は初めて見た♪ おかすぃー♪ ハクさんピンチだね! 美影さんやっちゃってるし! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 朱雀@忙しす先輩さん» テスト一週間前に修学旅行(TT) ね、あてちゃってるよね笑 (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 杜さん» そこまで言って頂けて嬉しい(笑) ハク落ちになったら美影を、美影落ちになったらハクの中編をそれぞれ書く気でいます。夢主は変わりますがね(^^; (2015年5月23日 19時) (レス) id: 61b5a6cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2015年4月8日 18時
