悪役令嬢、悪役辞めます

属性&ランク測定！そして… ページ11

鏡が、私の魔力を受けて赤や青、黄色…と色とりどりに輝き始めた。

まるで宝石が光っているような、そんな魅力に囚われてうっとり眺めていると、ピシッと嫌な音がした。

慌てて魔力を込めるのを中断したが、遅かった。

鏡は一際強い輝きを放つと、パリンと粉々に割れてしまった。

私は小さく、ヒッと驚きの悲鳴を。

教室中からはキャーと悲鳴が。

うるさ、鼓膜破れる……。

鏡割ったのは悪いと思ってるけど、そんな叫ぶことでもないだろ。

と内心は思ったが、悲鳴は止むことがなくて仕方なく耳を塞ごうと手を動かした。

『……っ、痛！？』

その瞬間、とんでもない痛みを感じた。

手を見れば、右手の平がぱっくりと切れていた。

きっと破片で切ってしまったんだろう。

床を見れば血が垂れてる、相当深いなぁ…。

なんてどこかのんきに思っていると、無事な左手首を誰かに掴まれた。

？「なに呑気に眺めとん！？血出とるやん、治癒室行かんと！」

『え、あ、』

返事をする前に、その人は私を優しく姫抱きして治癒室へと運んでくれた。

ちなみに、治癒室は保健室みたいなところね。

普通の保健室と違って、先生達も利用する。

そこへ着くと、その人は治癒室にいた先生に事情を説明して手当てを頼んでくれる。

治癒室に常駐しているのは、しんぺい先生という人。

この人は、本編でもちょくちょく出てくるが攻略対象ではない。

しんぺい先生は私の怪我の様子をじっと見る。

私はあまり怪我を見たくないので、私を運んでくれた人の方を見たのだが。


………なぜ、そこにいるのがガオナァ・チーノなのだろうか。

ガオナァ・チーノは攻略対象の一人。

計算高く、決して他人に自分のことについて明かそうとせずに誤魔化す。

そんな詐欺師みたいな人。

でもそれは、小さい頃から信頼出来る人というのが極端に少なかった故の性格。

懐かれれば非常に明るく元気で、それでいていたずら好きな本当の彼が現れる。


確かこんなキャラだった気がする。


……彼は、人にすり寄る際に面倒事が起きないようにすり寄る相手を選ぶ。

私は家の権力はあるが、周りからの評判は悪い。

そんな私にすり寄ったとして、彼に利益はないと断言できる。

だからこそ、私を助けた意味は一体……？

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