無理 ページ47
｢さて、尾形一等卒を助けるに当たって、ひとつ君に頼みがあるのだが･･･｣
鶴見は、Aが落ち着いた頃に話しかけた。
｢なんでも言ってください！鶴見少尉！｣
尾形のためなら何でもする覚悟はとうの昔に出来ている。Aは、なんでもドンと来い、という気持ちで構えた。
｢ん〜。それが先程、君が私に頼んだ内容で叶わぬことがひとつだけあってだな。｣
｢え？｣
｢私は、君の気持ちを悪く利用したりとか尾形一等卒に危害を加えるだなんてことはしないが･･･内密にするのは無理だ。｣
｢な、何故ですか？！｣
鶴見は純粋に尾形を助けたいはずなのに、と、Aは首を思いっきり傾げた。やはり、皆にいいふらすのか･･･とAが慌て出すのを鶴見が落ち着け、と制した。
｢君のその尾形一等卒を想う気持ちを、彼らに伝えてほしいのだ。｣
｢彼ら･･･とは？｣
Aが、思っていたような悪い話でなくてほっとしつつ、続きを促す
｢実は、その者らを既に呼び集めているところだ。もうすぐ、ここに来るはずだ。｣
｢え？いや、あの･･･｣
Aの問いを、鶴見にはぐらかされ困惑する。
｢私を信じてくれないか？君と親しい者も何人かいる。大丈夫だ、悪い様にはせん。｣
｢鶴見少尉がそこまでいうなら、私、信じます！｣
今の鶴見は悪巧みをしている雰囲気ではないと、しっかりと確信していたAは、はっきり返事をする。
｢今の君ならそういってくれると思ったよ。では、その気持ち、伝える覚悟はできたかね？｣
｢ええ、もちろん！｣
そう、Aがいったとき、コンコンと医務室の扉を鳴らす音が聞こえた。
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作者名：もふもふ | 作成日時：2018年11月20日 21時
