山猫に一目惚れ (ページ23)

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味方ページ23

｢だ、誰にもいわないでよ？｣

｢どうして？｣

｢何かのはずみで両親に知られたら、絶対反対されるから･･･｣

そういって、Aは『彼』身の上を話す。しかし、『彼』にもプライバシーがある。うめの大ファンである勇作の腹違いの兄で、妾の子かもしれないことは伏せ、一般の兵士であることだけ告げた。

｢そう、それじゃ、あんたの両親はは反対するわね･･･でも、良いじゃない！禁断の恋ってかんじで！なんか燃えるわ！｣

｢そ、そうかな･･･｣

｢そうよ！私はAのその恋、応援するから、いつでも、相談乗ってあげるわよ！なんせ、親友の初恋なんだし！その兵士と是非くっついてもらわなくちゃ！｣

｢あ、ありがとう、うめ･･･！｣

Aは、うめに打ち明けて本当に良かったと心から感じた。

｢で、今まで、まるで男に興味がなく、お転婆娘だったAを、こんなに乙女にさせた殿方はどんなお名前かしら？｣

うめが、わざとらくお上品にいう。

｢それが、分からないの。｣

｢は？｣

｢確か、軍服の袖の金線が2本だから一等卒だとは思うんだけど･･･｣

そういってAは、『彼』の軍服姿を思い出す。ああ、誰よりも軍服姿がかっこいいと思いながら。

｢え？本人に名前聞かなかったの？｣

｢いや、そもそも喋ってないから汗本当は誰かに尋ねたかったけど、なんで、少尉がたかが一等卒を気にするとか思われたくなかったから･･･｣

Aは、早くどうにかして『彼』の名前を知りたいと心の底から思った。それが、唐突に訪れるとは知らずに。