検索窓
今日:3 hit、昨日:9 hit、合計:48,941 hit

79 ページ32

『な、』

耳に感じた柔らかいものの感触に目を見開き彼を見遣ると、してやったり、という顔をして笑っていた。

「ふふ、じゃあねA」

そう言ってこちらが何も言えないまま固まっているうちに彼は背を向けて森の闇の中へ消えてしまった。
私は今、耳にキスをされたのか?
異性とのこういう触れ合いに全く免疫のない身体はどんどん熱くなる。

いや待て、何を考えているんだ?相手は10歳も歳下の男の子だ。曲がりなりにもいい歳した大人が振り回されてどうするんだ。そう理性的な自分が脳内で説教を垂れるが鼓動の収縮は収まることを知らず、思わず口から深い溜息が出る。


『はあ〜〜〜〜…やられちゃったなあ』

私からは何もお別れの言葉を言わせてくれなかった彼を若干恨みがましく思う。


『…またね。シュウくん』




それから数週間。
私はゴッドエデンの「後片付け」に奔走していた。
子供たちを元の居場所に返す手続き、職員の待遇の取り決めなどなど、仕事の量はとどまることを知らなかった。
勿論豪炎寺くんや宇都宮くんも同じく片付けには尽力してくれているが、なかなかどうして終わりが見えない。

こ、これが社畜…………!?

そんなことを考えながら翼を生やしてくれるというエナジードリンクを飲みまくり、書類と睨めっこすら期間が続いた。




『はあ〜、つかれた』

「Aさん、お茶飲みますか」

『ああ白竜くん…ありがとう…』


白竜くんは未だゴッドエデンに残っていた。他の子達は殆ど自分の居場所に帰ったものの、彼だけはここに居た。
豪炎寺くんの采配なのだろうが、その真意はわからない。彼に家族はいないのだろうか。余りにデリケートな問題すぎて踏み込めずにいるが、豪炎寺くんのことなのでちゃんと対処してくれると思う。

と、白竜くんの淹れてくれたお茶を飲みながら考えていると、部屋のドアがノックされた。

「入るぞ」


噂をすればなんとやら、ノックの主は豪炎寺くんだった。

80→←78



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (123 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
423人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

香藤 - 涼花さん» お久しぶりです!笑いつもありがとうございます…!超絶不定期更新ですが、何卒よろしくお願いします…頑張ります! (2022年7月14日 16時) (レス) id: 2e6a3cdde9 (このIDを非表示/違反報告)
涼花(プロフ) - お久し振りです…!(?)楽しみにしてました…!!!夏休み中に更新されるの嬉しいです…!無理なさらず、更新ファイトです! (2022年7月14日 8時) (レス) @page40 id: a6661d2da5 (このIDを非表示/違反報告)
るいくんの遊び場! - たまにチラチラ読んでたんですけど、やっぱおもしろいです!!!!更新頑張ってくださいね!!! (2021年8月30日 16時) (レス) id: 0c0aba27ae (このIDを非表示/違反報告)
こまめ - すみません。間違って2回投稿してしまいました。 (2021年8月30日 7時) (レス) id: 8adf351572 (このIDを非表示/違反報告)
こまめ - 更新お疲れ様です。とても面白く、見つけくてから三日で読んでしまいました!これからも、更新頑張って下さい! (2021年8月30日 7時) (レス) id: 8adf351572 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:香藤 | 作成日時:2019年2月23日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。