追 憶。【不死川実弥】

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「 おはよ 」

『 お、おはよう！ 』








早いもので、前期最後の講義日となった.
一番最後は学生に待ち受ける定期試験なのだ.





『 て、テスト頑張ろうね…！ 』


「 そうだなァ 」





柔らかく笑う顔に、先日のことが過ぎった.

あの記憶のようなものは一体何なんだろうか.
大学で会うよりも前に、会ったことある…とか？










「 …ん、そういやいつもと髪型違うなァ 」


『 あっ、うん. ちょっと変えて見たんだ 』





普段は降ろすか、一つ縛りをしているのだが、
最近は違う髪型に変えている.





理由は単純、
花火大会に向けての練習…と言っていいだろう.





自分でヘアアレンジをするのが、苦手だから、
今のうちから練習しておこうと思ったのだ.










「 へェ 」





実弥くんは、私の頭に手を伸ばし、
崩れないように、優しく髪を撫でた.










その瞬間に、ぶわっと顔が熱くなった.
似合ってる、なんて言って笑うから余計だ…



恥ずかしさと驚きで、心臓がバクバクうるさい.





「 …ッ、わり 」





視線が合致すると、すぐに手を引っこめる彼.





『 や、だ、大丈夫……、あ、ありがとう… 』










触れられた瞬間よりも、ドキドキしている.





胸の奥が、じんわりと暖かくなる.



それに、なぜが、
すごく幸せな気持ちが生まれている＿＿.





こんなこと、今までなかったのに…










「 …ッ、じゃァ、また後でな 」


『 う、うん…！ 』





定期試験の時は席が指定されているため、各々の席に向かう.

















『 ……ッ 』





席につき触れられた所を抑える.
そこが、異様に熱く、疼くようだった＿＿.





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