追 憶。【不死川実弥】

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その日の夜、膝の上でくつろぐしらたまを撫でていれば、電話の着信音を鳴らしながらスマホが小さくバイブした.



どうせ宇髄が暇だからといってかけてきたんだろう(いつもイタ電来る)と思い、スマホに手を伸ばしたが、それは大きく違った.





「 ……は？ 」





液晶に映るのは、颯瀬 Aの名前が＿＿.



かなり驚いたが、迷いなく通話ボタンをタップした.





『 あ、もしもし？ 不死川くん？ 』

「 …おぅ. 」

『 こ、こんばんは. いきなり電話しちゃってごめんね. …』





電話越しに聞こえる颯瀬さんの声に、
自然と口元が緩んでいるのが自分でも分かる.





「 いや、大丈夫だァ. 」


『 それならよかった.
……あのさ、昼間のこと謝りたくって… ごめんね. 』



「 ……なんで颯瀬さんが謝んだァ？ 」



『 義勇……、えっと、あの時いた人のことなんだけど…
不死川くんのこと睨んでたよね？ 初対面なのに失礼なことしちゃったと思って…それにお話の途中だったのに… 』





いや、初対面じゃねんだわ.
前世から知ってるし、大学に入ってから何回か会ってる.(見かける)





「 大丈夫だ、気にしてねェよ.
わざわざありがとなァ. 」


『 ううん 』





確か、前世では俺が禰豆子を刺したとき、
Aは竈門に謝りに行ったとか聞いたことがある.





こいつは、中身も変わってねェ.


変わっちまったのは、欲を言って俺との関係性だ.
幼馴染でも恋仲でもない、ただの他人.










にしても、義勇ねェ…
冨岡様、って呼んでたクセによォ.








「 ……なァ、颯瀬さん 」

『 はい？ 』


「 ひとつ、お願いがあるんだが聞いてくれねェか？
」

『 う、うん？ 』









冨岡ァ、こっちだって譲らねェ.





やっと見つけだした相手だからなァ＿＿.










「 Aって呼んでもいいかィ？ 」





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