ただ、未来を 2

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「…おぼえていないのは、お前の方だろう、A。
だが…ははっ、
驚いたなぁ…この学校にクローンのことを知っているヤツがいたとは…驚いたなあ。
じゃあ…俺が博士を殺したことも知ってるのか？」
家康くんの言葉に、みやびちゃんは言葉を失ってしまった。
「…フッ、図星か…大方、博士のバカ息子にでも聞いたんだろ？」
確かに、博士の息子を名乗る男は家康くんが、と言っていたけれど…
クラスメートが人殺し、だなんて。
…あの子では、考えられないことだけれど。
「…一体、あなたの目的は何なのですか？」
「かつての俺が江戸幕府を作ったように、まずはこの学校のクローンたちを支配し、ゆくゆくは日本を
俺の理想の国家に変える。
ネオ江戸幕府…それが俺の目的だ。使えるゴミは利用しないとな。…エコだろ？
俺と共に来い、A。俺の道の先に、天下は…
総ては、ある。
誰の道を辿るでもなく…お前自身の道を、進ませてやる。」
『私の、道…』
差し出された手を、それでも私は受け入れることができなかった。
江戸幕府は、たしかにあの時代の…応仁以来百年の戦乱を平定し平和をもたらした。…けれど。
その陰で、その下で犠牲になった民を知っている。
幕府の圧政に苦しんだ民を。すべてを奪われた友を。私達がいなくなったあとも260年余り続いた幕府が決してなんの代償なく腐敗なく続いたわけではないことを、今の私はしっている。
だから…
『貴方の進む先に、きっと私の道はないんです。
すべてをゴミと切り捨てる貴方では、かつてのあの子のように天下を得て平和をもたらすことなんて出来ない。
…私と貴方の道は、きっと交わることはないんです。』

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