ただ、未来を 2

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『さて。
取り敢えず、回れるところは全て回ったと思うのですが…』
うん。回った。
科学室とか調理室とか、私があの子を思い出してしまいそうな場所は嫌ぁな顔をして避けるから、校舎のすべてを踏破したわけではありませんが。
…明智くんがいるのは、図書室でしたよね…？

次第に傾いていく西日に時計を見ると、針はもう6時を超えていた。
うーん、こんなに長い時間一緒にいるなら、みやびちゃんとが良かったなぁ…
「まだ、回っていない場所があるだろう。」
『科学室、調理室、あ、女子トイレもまだですが…男子トイレは貴方が見るとして、…流石に明智くんも女子トイレに籠ることはないと思いますが…』
徳「…あぁ、図書室は、まだだったなァ？」
『あら、まぁ。
図書室ですか…では、行きましょうか？』
ピンポイントでビンゴを出しますか…
選択肢に入れなかったのが駄目でしたかねぇ…？
うーん、ここからどう誤魔化すか…
徳「…A…視線が揺れているぞ？」
…うっわぁ…ここまで違うのに、そういうとこはあの子に似てるのは本当になんなんですかねぇ…目ざといというか、感がいいというか…
『…そうですか？まぁ、図書室にいる明智くんは女子トイレに隠れているよりも想像しやすいですが…』
徳「フッ。やはり、乗ってこんか。」
え、今の鎌かけだったんですか？！
うわ、え…マジですか…怖…
というか、貴方、最初から明智くんが図書室にいるって確信してましたね？
…はぁ。そーいうところがサルとは違う意味で厄介なんですよねぇ……本当に、天下を得た男は怖い。
『知りませんよ。時間はまだ沢山あるんですから、図書館でもなんでも行きましょう。
…せっかく一日かけて校舎を回れるのに…みやびちゃんや、特進クラスの皆と一緒に回りたかったんですが…』
そのほうが絶対楽しいし居た堪れなくならないと思うのですが…
徳「…」
あー！ぎりぎりするのはやめてください！
両手が死んだら何もできなくなりますから！
てか、腕を掴まれたときより手を握りしめられたときのほうが数倍痛い！
知りたくなかったですよこんなこと！
徳川くんは私の右手をギリギリと握りしめながらのっしのっしと進んでしまい、それに引きずられるように図書室を目指す。
…私、足止め的な感じに役立ったかなぁ？
結構体を張ったと思…いや、ただ流されてただけだから…うーん…

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