ただ、未来を

・ ページ8

校舎に向かいながら、豊臣くんは様々なことを教えてくれました。
豊「ここには全国から腕に覚えありの連中が集まってんねん。
みやびちゃんやAちゃんに吹っ掛けてきた奴らは、俺ら特進をひがんでるってわけや」
み「そうでございますか…」
『…それは、また…』
やっぱり、進学校なんて嘘じゃないですか、この学校。進学のためのシステムについては変わらないけれど、私とあと1名しか志望しなかったから、と説明されましたが…たぶんその1名はみやびちゃんでしょう。自分で望んだこととはいえ…お互い、とんだ貧乏くじを引かされたものです。



豊「来たで、武田信玄や」
「武田信玄！？」
『なっ、信玄公…？』

武「どかんかーーーい！！！！！」

大きな声とともに風林火山の旗がぶっ刺さったスクーターに乗って現れたのは、声と同じ程大きな武田信玄こ………くんというらしい。

あまりの圧にジャージの先輩(？)たちももおとなしく引いているけれど…あれ、普通に関わっちゃだめ、というかやばいやつなのでは？？？

豊「奴は15にして甲州街道の暴走族を束ねた」
み「武田信玄は戦国時代、強力な騎馬隊を持ってることで有名でしたね！」
豊「それなに？」
信玄公といえばあの時代には珍しい騎馬隊。
長篠の戦いでも、武田勝頼の騎馬隊は脅威でした…まだ威力が低く扱いづらかった火縄銃を実戦投下しようと言い出したミッチーも、それを認め勝ってしまった殿もすごいのですが、まぁ…
…やっぱり、本人なんじゃないですか、？あれ。

み「ふふふ」
『ふふ、』
そんなこと、誰にも言えるはずも、わかってもらえるはずもなく。
みやびちゃんと顔を見合わせて、クスクスと笑い合いました。

そしてまた歩いていくと。

み「あれはひょっとして上杉謙信！？」
『毘沙門天…景虎君、かぁ…』

上「みんな一回落ち着いて話そうじゃないか」

み「平和を愛した義の武将…！」
『お酒の飲みすぎでトイレで死んだんですよね、あの子………』
みやびちゃんにとてもあぁ、………という目で見られた気がするのですが、きっと気の所為でしょう。
お酒大好きなのはわかるんですが…まぁ、死因なんでそんな調節できるものでもないんですが………
トイレで力んで死んだ武将、として割と有名になるなんて、当時は想像もできなかったですから、
でも…
あの子、あんなに線の細いスラッとしたイケメンだったっけ、？

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す