ただ、未来を

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そして、翌日。
4時間目は皆さんお楽しみの調理実習、
だったのだけれど。

まぁ、あの徳川くんが真面目に大人しくほのぼのと受ける筈もなく。…転校早々欠席って、それはそれでヤバくないですか？
まぁ、変な圧を感じずに授業を受けられるので、問題は全くないのですが。

それよりも。

『…上杉くんがいてくれて、本っ当に…、よかったです………』
上「…ありがとう。僕もだよ、立花。」
『その…なんというか…
…すみません…』
上「なんで立花が謝るのさ。」
『いや、その…まぁ…』

卵をときながら。口の中に大量の砂糖をブッ込まれたような気持ちになる。
実習の席はランダムで、上杉くんと信長くんと本多くんの3人と組むことになったのですが…
…居心地が悪い、と言うか…気まずいと言うか…

いや、隣で自分の上司(仮)と割といかついクラスメイトのラブコメが始まってしまったら、誰だって気まずいでしょう。そうでしょう。

本「信長。食べろよ」
本多くんが信長くんに差し出したのは、キレイなハート形の卵焼きで…花でこれまたキレイに飾られて…
織「なかなかにうまいではないか」
本「あっ…いや、実はさ、…ほら、いつも干し柿食べてるだろ？ 砂糖多めに入れてみたんだ」
織「貴様も食べてみろ」
信長くんが本多くんにあーん。をした事で、この卓に何とも言えない空気が広がる。…リア充ですか？そうですね？
だいたい、とのはいっっっつもそう！
蘭丸くんの時も、トッシーの時も、亀くんの時も、坊くんの時も…
タラシなの？え、無自覚なの？？？
もー！！！人目も気にせず朝から晩までイチャイチャイチャイチャ！
このクラスにはトッシーいたよね？やっぱり同姓同名でも恋心は違うの！？
だとしても！

『…私、本当は甘い卵焼きが好きなんだけど、なぁ………
ほら、上杉くん、あーん……、』
上「うわぁ、びっくりするぐらい無味…」
ﾊﾊｯ
『…美味しくない？』
上「…いや、ちょうどいいよ。
ほら、僕のも。あーん」
『あーん
…え、美味しい。
正直雰囲気だけでお腹いっぱいでしたし、何なら胃もたれしてすらいたのに…
…天才では？』
上「そんなに褒めても、何も出ないよ？」
「お前ら！実習中にいちゃつくな！」
『…？』
「…いや、その…なんか……すまん。」
…私達の死にきった目を見て、何も言えなくなってしまったようです。
とりあえず、胸焼けと胃もたれが酷くこれ以上何も喉を通らなかったので、精神の安寧を求めて少し味を整えてから配り歩くことにしました。

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