ただ、未来を

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明「…先生、授業を続けて下さい………」
混沌とした空気の中、勇気を出して、というような明智くんの声をかき消すように先日と同じ法螺貝の音が響いて、前のスクリーンに映像が映し出された。

秘「初の公認旗印が出ました。
「旗印提出は…１年Ｃ組、大沢一郎くん」

豊「…誰中の、誰？」

画面に映っているのはこのクラスの誰よりも弱そうな男の子だった。…見た目で判断するのはいけない、とはわかっているのですが…、彼が今回の…この旗印戦初の旗印提出者のようです。
どんな猛者かと期待していたクラスメートたちは想定外の大沢くんにブーイングを始めてしまいた。
…いや、確かにまさか、って感じだけれど…人は見た目によらないですから…【殿】とか、織田くんとか、上杉くんとか、…ミッチーだってその筆頭だし…

秘「大沢くんが提出した旗印はこちらです」
【2時間以内に武田信玄を倒す！！大沢一郎】
『あら、まぁ…』

うーん…よりにもよって、武田くんを指名しますか、…彼の実力がいかほどかは知りませんが、あまりにも無謀、では？

秘「なお、同じ旗印が出ました。
合計205本」
大量に立てられた旗とともに画面に205人が次々と出てきて、その数の多さに驚く。
…これは。いくらなんでも、たとえ武田くんがどれほど強くとも…多勢に無勢、と言うやつなのでは…？

「つまり武田くんが205人と戦うってことですか？」
「しかし旗印戦は一対一なのでは？」

秘「旗印戦は、一人に対して何人でも提出可能」
私達の会話を聞いていたかのように、魔村さんは凛とした声で答える。
み「そんなの、正々堂々とは程遠い…！」
武「それでいいんだ。………それが、戦なんだよ」
み「武将の、血…」
この状況を飲み込めていないみやびちゃんの声に、武田くんは覚悟を決めているように返した。
「それにしても、示し合わせたように205本の旗印…一体何が起こったんだ」
205本…これは、大沢くんの計画なのでしょうか？
…特進クラスのみんなの様子からしても、彼に何かがあるとは考えにくい。なら、それを仕組んだ【誰か】が、…？
ライバルの窮地に考え込む上杉くんの声に引っかかりを感じて考えていると、黒田くんが井伊くんの肩を叩いた。

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