ただ、未来を

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『…日下部さんも、入学初日に遅刻なんて、したくないでしょう？』
み「それは、そうです！…ですが…」
状況に追いつけずおろおろと困ってしまったみやびちゃんが可愛くて、少し頭が冷静になった。
『…二人で、行ってみませんか？いえ、赤信号、みんなで渡れば怖くない、のような心持ちではありますが…覚悟を決めなくては…』
何も命まで取られることは、ないのでしょうから。
み「そう、ですね…では、いざ！」

ジャージの群れに突っ込むと、早々に絡まれ囲まれてしまった。…さっと切り抜けようと思っていたのに…なかなかに、しつこい。
「おいおい、入学初日に仲良く登校かよォ！羨ましいぜぇ！」
み「あの、皆様は…」
「俺たちは2年だよ！！！」
み「先輩方ですか…私達は特進クラスでお世話になります一年生の…」

「特進だァ‼︎」

日下部さんの【特進クラス】と言う言葉に反応したようで、ジャージたち…2年生たちはニヤニヤと笑いながら近付いてくる。
完全に舐められているのはわかりますが、…不愉快、ですね。
下品な笑い方があまりにも耳障りで。日下部さんに…私の初めてのお友達に馴れ馴れしく絡む不良たちに、すこし…ほんの少し、我慢ができなくて。

…高校では、【普通】になろうと思っていたのに。

あぁ、憂鬱、です。

日下部さんを怖がらせないように、一瞬で、
わからせればいい。
そう、思った。そして、一歩踏み出した…

その時。


校門から、制服に短パン言うなんとも…なんともアレな1人の男子生徒が、干し柿を食べながら歩いてきた。

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