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「昨日、満優や荒川ちゃんらが選んでくれたでしょ？」
「はい！皆様のお陰で、何だか新しい世界が開けたのではないかと思う程！こういうのをガーリー系って言うんですよね？」
「……それ…男の俺に聞かれても…まぁまぁ、そうね。とても似合ってるよ。むしろ天野さん、普段からこういう系が私服だと俺思ってたから」
「そうなんですか!?」
「勝手な偏見で申し訳ないけどね。でもさ、本当に可愛いよ。だから、自信持って良いんじゃないかな？」
「その…恥ずかしながら、こういうの慣れなくて…昨日は満優さんや荒川さん達が可愛くしてくれましたけど…今日は1人でやりましたから」
「……頑張ったんだな」
そう言うと桜野さんは「ちょっと待ってて」と、リビングから離れる。
何だろうと思い5分程待っていると…何かを持って戻って来た。それは…
「どうぞ」
「えっ！」
小さめの葉がモチーフの、可愛いネックレス…それを、桜野さんは私にそっと手渡す。
「控え目で小さいけど、花型のイヤーカフと合うと思うよ」
「えっ…でも、お借りして良いのですか？」
「借りるも何も、プレゼント。君の新しい門出祝いに先輩芸人の俺から」
「……い、いや、いけませんよ！こんな…私みたいな…」
「天野さんだからこそ、だよ。それにこれはお守りみたいなものだから。もっと言えば…魔除け？」
ま…魔除け？
「深い意味はないよ。これね、アイビーって言う葉をモチーフにしたものなんだ。実物はとても柔らかい葉でね…邪気を払うだけじゃなくて、やる気もアップするんだよ。まー、ゲン担ぎみたいなモンだ」
「……」
「今の天野さんは…俺の解釈にはなるけど……久々に会う仲間達に、どういう顔をしたらいいのか…とか、自分がそこに行っても良いのか…とか、色んな不安が積み重なってるんだと思うよ。だから、今何をしてもネガティブになっちゃうんじゃない？」
「…はい」
「大丈夫。天野さんが会いたいって思える程、大事な人達なんでしょ？なら、その元気な姿を見せてやりな。でも…もしすっごい嫌な事されたり言われたりしたら、ここに戻って来なさい。
―――名前を教えてくれたら、俺と仁でソイツら全員に“ちょっとだけ”お説教するから」
満面の笑みを浮かべているけど、どういう訳か「恐ろしい」と感じてしまう。
桜野さん…何故天使の様な方が「腹黒い」と言われているのか理解不能でしたけど、今この瞬間…言葉なんかいらないレベルで痛感しました。
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年11月4日 2時
