・ ページ50
俺の暴言とも言える主張を止めたんは…意外な人物。
俺の口を、自身の手の甲で抑える。
……京極さん？
「古城とは…大阪で数年、神保町でもまだ数ヵ月過ごしただけ。それでお前の事を分かった気になってもうたならホンマに申し訳ないけど…
昔からお前、誰かを庇う度に自分が悪者になろうと必死になってさ、ずっと俺思うてたよ。自己犠牲も度を超えたらただの自分殺しや」
「…それは」
「お前意外と困ってる人放置出来へんやろ…芸歴2年目の頃、スーパーのバイト先で些細なミスで怒鳴られて泣いてた子を助けて、結局そのパワハラチーフ煽り過ぎてボコボコに殴られて…お前こそお人好しの甘ちゃんやん」
怒鳴り脅迫趣味の小物野郎か…単純に、バイトの女の子が言われた内容を、俺がそのクソ野郎にほぼそのままお返ししただけや。それだけで顔面数発、後肋骨にヒビ入って、他にも痣出来た。
そん後も「あの子は忍耐強いんに、アンタは沸点低いんと違う？」とか
ついでに「スーパー正社員の青果部門らしいと言えばらしいですよ。声量的には如何にも市場の店って感じですね(訳・狭い場所でキンキンうるさいから外で騒いで発散して来い)」とか色々言うたら…そんクソチーフ、自部門だけやなくて他部門の備品壊して…まぁ御用となったな。
俺も俺で、結局そん仕事続ける気失せて退職したけど、そん頃にはレギュラーと準レギュラー1本ずつ貰えたから、短時間で働けるバイトにチェンジしたんよな…
流石にちょいやり過ぎたな…とは思う。
でも何でそれを京極さんが知ってんねん。
まぁええけど。
「それと…野宮さん庇おうとしてるんバレバレやぞ」
…やっぱ良くあらへん。
何こん人、怖いわ。
「櫛野と坂口も」
「！」
「え…」
「お前らが乃川さん信じたい気持ちは当然やし、突然現れた野宮さんの言葉が信じられんのは分かる。けど、それで野宮さんにそないな顔と敵意で見るんは違うやろ」
「…野宮さん、すみません。僕らの為に教えて下さったのに」
「俺達の為にこんな…本当はこんなの言いたくなかったですよね」
「……ううん。私の方こそゴメンね。配慮が足りなかった」
あ、満優姉の顔色…少し戻った。
「…Aの味方をする余り、乃川さんを敵視してまうんも分かる。やからと言って乃川さんを切り捨てろ言われたらそれもちゃう。
俺らが今出来るんは、Aが戻るのを待って、復帰後も彼女をサポートする。
色々と知るんは、その後でもええやろ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 28人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：氷柱 | 作成日時：2023年11月4日 2時
