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〈side 古城楓〉
「―――明確な憎悪…やて？」
満優姉が語った数時間の出来事
俺はただただ聞いて…それを受け入れるのに必死やった。
それは京極さんや�眸耄秒�も同じや。
乃川雪希が…天野さんの話で怒鳴る。
それも憎しみを込めて。
そうなると話は色々と変わる。
「満優姉、それ…ホンマなん？それに満優姉が相手に対して気持ち悪なるん…他人のドス黒い感情がこれでもかと露わになる時やろ？」
「……正直、あんなに綺麗な子に対して、吐き気を覚えるとは思わなかった」
満優姉は高校時代に“とある出来事“により、極度の人間不信に陥ってしまったと聞かされた。
しかも相手は信頼してたはずの……そういう経緯もあって、人間の本性に対しては過敏になってまうんや。
今は大勢の信頼出来る人らに囲まれとるけど、それでもやはり身に付いてしもうた嫌なスキルは健全な様や。
しかし…乃川さんが…なぁ。
「あないな案山子よりも不気味な子が、更に不気味過ぎる子やった、と」
「楓君、言い方」
「……何かの間違いやないですか？」
坂口が意を決して口を開く。
「今までMilky Wayは解散させられたも同然という認識でした。でもそれがホンマなら…！」
「それも事実や思う…でも、乃川雪希も解散望んでたんもホンマやろ？実際、本人が天野さんに解散して欲しいて告げたんやから。ただ…」
「皆が思っている以上に、彼女はAちゃんとの解散を強く望んでた。そして…あの憎しみを込めた怒りからして……Aちゃんがどんな状況に陥ろうと、もしかしたらそれは……」
そこから先は、満優姉は何も言わんかった。
天野さんにとっての先輩や同期の前で、そして満優姉の後輩達の前で残酷な事を言える訳ない。
「…分かんないけどね。ただ、乃川雪希がAちゃんに対して凄い大声で怒鳴ってたから……私の口から話せるのは、それだけ」
「…結局貴女の憶測やないですか」
「乃川さんが…そこまで悪女やないんは、同期の俺らが一番知ってはります」
「…そうだね。櫛野君と坂口君の言う通り」
「そうだねって…！」
濁したにしては少しだけ下手な気もするけど…
けど、ええ収穫ではある。
しかし満優姉…少し喋り過ぎたか。
「満優姉、結構な情報を手に入れたな。ホンマ、よう知れたな」
「楓君？」
「あの女と喋った後なんに、元気な姉さんやね」
「な…何？」
「ほな、それやったら…俺はもう容赦せんでええよな？」
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年11月4日 2時
